03.悩みの船
人生において、どこに身を置くか決めた後は、専ら船に乗ることになった。
兄貴達と共に船に乗るのが好きだったから、男ばかりの船だって楽しかった。
だけど、たまに憂鬱になってしまう。
きっと全国各地見ていても、自分と同い年のお姫様達は輿入れをしているのだろう。
姉様達から聞く話のような縛られる生活は嫌だ。
それでも、周りの国から嫁ぎ先が無いのだと噂されるのも嫌だ。
矛盾している…。
どちらかを我慢しなければいけないことはわかっていた。
だから、船を選んだ。
後悔はない。
「浮かない顔して、どうした千祥?」
「あ、兄貴っ…」
私に自由に選ばせたのも兄貴なら。
結局その後も心配するのは、決まって兄貴。
「ううん、別に大したことないよ」
「大したことないって…なら、言ってみりゃいいじゃねえかよ」
「ま、別に言ってもいいんだけどさ。
好きでもない男に輿入れするのは勿論嫌なのね。だけど、他国から貰い先がないんだって噂されるのも嫌だっていう…自分でもどうしようもないってわかってるよ?
悩んだって意味もないんだけど、むしゃくしゃしちゃうの」
「はっはっは!何だそりゃっ…ははっ」
「何でそこまで笑うの!」
「だってよ、別にお前さん生きたいように生きりゃいいんだ。
別に一生船に乗ってろなんて言わねえ。好きな男ができたら、そいつに嫁げばいいんだ」
好きな男ができたら…そう言うものの。
四国からは滅多に出ないし、四国に、兄達を超える人なんてそうそういないから難しいだろう。
それに、瀬戸内に出たとしても、会ったことがあるのは、安芸の毛利さんぐらい。しかも、あの人苦手分野だし…。
「簡単にはいかんよ…」
「なんなら、次はお宝じゃなしに、お前さんの結婚相手探しに海を巡ってみるかい?」
「いいよ、わざわざそんなことしなくて。私は兄貴の影響で運命とか信じちゃってる女の子だもん」
「何だよ、それ…っと、丘が見えてきたぜ。
野郎共!!もう少しで俺たちの国だ!!!!!」
『アニキー!!!』
たくさんの男を束ねる兄貴。
本当…いつの間に、こんなにいい男になってしまったんだろうか。この姫は。
「こりゃ、なかなか結婚なんてできそうにないわ…」
その私の一言は兄貴に聞こえるなんてことは勿論なかった。
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それなりの年齢になると、いろいろ焦りますよね〜〜〜(^ω^)
私としても、定年後とかにクーラーつけながら生活できるよう、結婚して子供が産みたいものです(動機が不純)笑
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