02.いつまでも御兄妹
「ったく、また落ち込みやがって…ほら、千祥」
婚期なんて知らない。
まだ嫁がなくたっていい。
後悔はない。
自分で、そう思ってた。
だけど、いざ何度も見合いがうまくいかないと…ね。ここまで傷つくんだね。
只今絶賛自室で兄貴に慰められてる。
「うるさい!別に私からお断りしたもん!別に落ち込んでなんかない!!」
「…わかってるって。良い縁が無かったから残念に思ってるんだけなんだろ?」
「うん…」
「なかなかいい男だと思って頼んだってのに。千祥のお嬢には合わなかったってか?」
父がいないのだから、縁談を勧めるのは今では兄貴の役割。
姫と呼ばれたこともあるぐらいだからか、男の趣味は不思議なぐらいいいとは思うのだけれど、どうも私の中でしっくりこなかった。
「普段から兄貴たち見てんだもん。そりゃ目が肥えるに決まってんじゃないすか…」
本人を目の前にして言うのは正直癪だけど。事実は事実だ。
その証拠に、私の中でのいい男の定義は兄4人になっている。
「そりゃありがてえ言葉だな。俺もお前さんが男なら絶対いい男だと思うぜ?」
「嬉しくないお言葉ですな」
「…俺としては、無理に嫁がせることはできねえよ。
だがな、千祥。城の中と戦場と…自分がどこで生きるかってのは、そろそろ決めておいたほうがいい。こんな物騒な世じゃ、何が起こるかわからねえからな」
突然の真剣な話に、私はすぐには返事できなかった。
女として生きること。
女でありながら、男兄弟たちと共に生きること。
「兄貴、私…」
「今すぐ答えを出せとは言わねえよ。ゆっくり自分がどうしたいか考えた方がいい―」
「兄貴!私は兄貴達といる!」
せっかく元気よく答えたものの、兄貴の丸くした目。
思わず、笑ってしまった。
「何よ、その顔。…私が女としてどうしても必要なら、どこにでも嫁ぎにいく。
ね、だからさ。しばらく私を、この長曾我部軍にいさせて」
「そういうとは…ま、予想してたがな。じゃあこれからもよろしく頼むぜ?末っ子さんよ」
「おう!!」
後悔はない。
その言葉に嘘はない。
それを証明するために、兄と共に過ごす。
そして、可能な限り。長曾我部として生きていく。
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ヒロイン…つまり、この子はKIRIN女ですね。ただのお見合い浪人じゃないですか笑
なんだかんだで船に乗れる子なんです。
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