4.再就職

生きていくために必要なもの。
衣食住、お金…あげていけばきりがない。

私は今。
そのほとんどを持っていない。言ってしまえば、今着ている自分の薄っぺらい服しかない。しかも、これからはあんまり着れない気がする。


そんな私に残された道は住み込みありの職を探すこと。

戦国乱世に放り出されて。
周りの様子見てたら本当に私がいた時代と違うんだって実感させられて。
長曾我部さんにハローワークの役割を果たしてもらおうとして。



「住み込みってのはなかなか難しいと思うぜ?」


今に至るわけだけど。
城下町はあるらしい。商人も職人もいるらしい。
だから仕事はあるかもしれない、だけど私みたいなこの時代を何も知らない小娘を住み込みでっていうのは難しいらしい。


「それでも生きるためにはなんとかしなきゃならないんです!
 何でもするのでどうか私に就職先をお願いします!」
「…頑張って働くか?」
「精一杯頑張らせていただきます!!」


確かそんなことを就活の時でも言ってたっけ。一瞬その時の光景が頭によぎった。
だけどその時就活は生きるためだとか…そんな難しいこと一切考えてなくて私も大人になったんだなとしみじみと感じた。
結局生きるためだと改めて実感したらしみじみと感じてる余裕もすぐになくなってしまったけれど。



「じゃあここの城でどうだ?
 それなりに仕事はあるだろうが、アンタ俺以外のこの時代の人間を知らねえだろ」
「本当ですか?!」
「ある程度の覚悟があるならな」
「是非ともよろしくお願いします」
「…んじゃ採用だ」



長曾我部さんのご好意で再就職が決まり、なんとか私はこの時代での生活のスタート地点に立てたのだった。





  


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