妹を離したくありません
【元親】
最近妹の様子がおかしい。
いや、最近でもねえんだが・・・ぶっちゃけた話。
独眼竜と呼ばれる伊達政宗という男に好意を寄せられてからどうもぱっとしねえ感じだ。
海へ出ればため息をつき、月を見れば焦がれ、俺を見ては次はどこに行くのかとしつこく聞いてくる。
・・・・・・畜生、思いっきり恋煩いじゃねえか。
二人を会わせたのは確かに俺である。
しかも婚約だって結ばせようともした。
だったらそれはいいことじゃねえか、俺の頭の中の天使がそう言う。
だが、話は別だ。
「しょうーーーーーー!!」
「あ、兄貴!?」
なんの前触れもなくしょうの部屋の襖を開ければ体が大きく動いたのが見えた。
そして次にしょうが書いている手紙らしきものを見つけた。
「もしかして独眼竜への手紙か!?」
「え、え、まあ・・・そうだけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あの兄貴?なんか怖いんだけど」
そう言ってしょうは俺の前に立って手を上下させていた。
ああ・・・この前までは俺に嫁ぐとか言ってたのにな・・・・・・。
「・・・まあこの際それはいい」
「え?」
「だがな、まだ俺は仲を認めたわけじゃねえんだぜ!」
「嫁げとか言い出したのに?」
「っ・・・話が別だ!
とにかく俺は認めねえからな!!!!」
言い切ってしまうとしょうは静かに笑った。
”やっといつも通りになった”と、そう言って。
こんなにいい妹なんだと改めて思うと、なんとか妹離れしてこいつの幸せを願ってやりたいと素直に思うことは思う。
・・・だが、やっぱり話は別だった。
『覚えやがれ独眼竜』
頭の中の悪魔とどこまでも俺と近い考えをしていた。
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