04
須崎から遠く離れた家までなんとか帰れば、隣の名前の家が真っ暗なことに気付いた。
「じゃあね、元親くん」
「ちょっ、待て!待て、名前!」
「あっ―」
思わずそのまま帰ろうとする名前の腕を正面から引けば、つまずいてしまったらしく案の定俺の胸に収まった。
「今日親御さんは?」
「一日出張だけど」
「女子一人で危ねえだろ、家来い!家!」
「いやいやいや、そんな一晩だけなんだから大丈夫」
「駄目だ、何かあってからじゃ遅いんだって」
一日出張となれば今晩帰ってこないということで。
今晩は一人で過ごすというわけで。
気づけば胸の中にいた名前を担いで家の中に入っていた。
「きゃあああああ!ちかが女の子お持ち帰りして―…あら、名前ちゃん?」
「ただいま姉ちゃん、今日名前んとこ両親出張らしくて連れて帰ってきた」
「うちの家も今日ちかが友達と遅くまで遊びに行ってたから羽伸ばしにいつ帰ってくるんかわからんのよ。じゃあお姉ちゃんの部屋おいで」
それともちかの部屋がいい?、なんてことを冗談かましながら2階の自室へ名前を連れて行く。
『いや、でも私帰ります―』
『『駄目駄目、女の子が夜一人とか』
『ちょっ、あのっ』
声も小さくなっていき、とうとう聞こえなくなった。
妹が欲しかったと駄々をこねたこともある姉ちゃん。そりゃ今日みたいな日はよっぽど嬉しいんだろうな。
名前が大変かもしれねえが、笑いがこぼれた。
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女の子お持ち帰りは駄目ですね、一人にするより危ない気がしますがお姉さんがいるということで…
とりあえず元親はお姉さんと弟がいる設定です
妹さんは今回はなしで!
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