02

『え、花火大会?まあ俺はいいけど』
『やったー!!あとね、鶴ちゃんとね、孫市ちゃんとね誘っててね…元親くんも誰か友達連れてくる?』
『んじゃ元就あたりでいいか?』
『うん!』


そんな会話をしたのは夏休みの入る前。
名前に一緒に須崎の花火大会まで行かないかと誘われて少しドキドキしたのを覚えてる。それでもすぐに二人きりじゃないと聞いてなんとも言い難い気持ちになったんだが。ドキドキはすぐに消えた。


だけど、当日。現地で名前の浴衣姿を目の前にするとまたあの時と同じような感情に襲われた。



「ほら海賊さん、言うことはないんですか?名前ちゃん海賊さんを思ってこんなに―」
「ちょっと鶴ちゃん!?何言おうとしてるの!?」


鶴の字が案の定俺のためにとか言おうとして。慌てた名前は急いで鶴の字の口を塞ぎはしたが完全にアウトだろう。
だけど、確かに俺も男として言わなきゃならねえなと思うこともあり。


「名前、その浴衣すんげえ似合ってる」


名前のことだからこんなことストレートに言っちまったら照れたりするんだろうか。それでも本心なんだから言うのは構わないだろう、そう思って反応を見ようとしていた。
だが、名前の目に浮かんだのは涙。




「もう名前ちゃん、本当にあなたは…」
「姫、私がしばらく付いておくから元親と毛利と―」
「いや、ここは長曾我部が共にいるのが妥当だろう」



俺は名前の涙に慌てながら。
名前は自分の涙に慌てながら。

そんな中で三人が話しているのも聞かず、持っていたティッシュを渡す。この時初めてタオルやらは持ち運ぶべきだと思わされた。



「ごめんね、元親くん。嬉しくて泣いちゃった。
 三人もごめんね、行こうか」
「だが名前―」
「孫市ちゃん私もう大丈夫だから」
「…そうか」


二人の間で、…いや、もしかしたら三人と名前の間で何かあるんだろうか。
名前に話しかけたのはサヤカだけではあったが、俺以外の残りは同じように感じているんだろう。
少し孤独感があった。



「…とりあえずここは人が多い。我らは地元である故大丈夫だが名前は危ういであろう、長曾我部、貴様が一番目立つから名前の手を離すでないぞ」
「え、元就くん?」


名前の手を取った元就は、その手を俺の手に握らせた。
こいつこんなことする奴だったか?
そう疑問に思ったが、今は名前を喜ばすのが一番だ。そう考えた俺は花火がよく見える場所まで手を繋いで行った。




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決して元親は友達が少ないわけじゃないです!
選ぶのが大変だったから元就さんを選んだんです!…きっと!!
元親以外記憶持ってて、更にその人らが主に協力的すぎるとか考えちゃ駄目です!!考えたら負け(以下省略)





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