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「土佐は鬼の住むところだと聞いたことがあるんだけど本当なのかな?」


つい最近お隣に引っ越してきた姓名前。
ついでに言えば学校の席までお隣だ。それなりに話もすればそれなりに仲良くもなり、他愛もない話も交わすようになった。


「そうだな…昔はそんなこと言われてても納得はできる気がするけどな」
「………そっか、昔はか…昔の話だよね…」


いろいろ考えて一番無難な返し方だと思われるものをすれば、遠い目をする名前。何故かそんな目にたまに涙を浮かべることもある。



『土佐は鬼の住処と聞きます』

『鬼か?俺は会ったことがねぇな。だが・・・』

『だがー?』

『俺は鬼だ、お前さんを喰らう鬼だ』



ふとそんな会話を思い出す。会話と言っても俺の夢でしかないが。
ずっとずっと昔に名前そっくりな女に俺が恋した話。
今思えばこれ予知夢みたいなものだったんじゃないかと…いや、さすがに俺自身が鬼だとか言えねえけど。そんなこと言ったら思いっきりひかれそうだし。



「それにしてもいきなりどうしたんだ?」
「え、ええーっと、えっと…最近鶴ちゃんに元親くんが西海の鬼って呼ばれてここらへん占めてるって聞いて昔から鬼の言い回しがあったのかな〜って」
「まあその呼ばれ方は鶴の字が言い出したらしいんだけどな」
「そっか…鶴ちゃんもわかってたもんね」
「何が?」
「何でもない何でもない!何でもないです」


たまに名前が俺に対して他の奴と接し方が違うなって思うのはこういうときで。
俺が夢見た女と同じ奴なんじゃないかって思うほどに、今みたいな言葉を投げかける。でも夢は夢。
いい年した男が何夢見てるんだろうと、ただ苦笑するしかなかったのだった。




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いきなりはじめてしまいました
やっぱりなんだかんだで思い入れのある作品だったりします
ある程度仲がいいところからスタートなのは気にしちゃ負けです!鶴ちゃんとかが主に協力的なのも気にしちゃ負けです!



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