第二弾・元親(クーデレ、デレデレ)

何でなんだろう。

『おい毛利、勝手に名前と帰る約束つけてんじゃねえよ』
『帰るだけでそこまで言うなど・・・本当に貴様は嫉妬深いな、面倒臭い』
『はあ?
 名前に関してはアンタが好きそうな論理的な言葉とやらで負かせてやるよ』
『黙れ、長曾我部』
『アンタが黙れよ、毛利さんよお・・・』


『あの、先輩っ・・・私先輩のことがー』
『悪い、もう俺帰るから』
『っ、ちょっとだけでいいんです、私に時間を貰えませんか』
『悪い、もう俺帰るから』



私の同棲中の彼氏である、長曾我部元親。
同じ会社で働いている訳だけど部署が違うから姿を見るのはほとんど家なんだけど。

本日元親のいる部署へ用事で行ってたり、一緒に帰ろうと見に行ってみたんだけれど、見た姿が凄く、とは言わないけれど・・・冷めていた。
とくに後輩らしき女の子の対応に関しては私が覗き見してしまった訳なんだけど、もしあの子が自分だったらと考えただけで泣きそうになった。

私の元親のイメージといえばほとんど家の中の事で。

「名前ー、寒くねえか?
 ほら冷えてきてんだからもっとくっつけよ」

満面の笑みで言って私を膝に座らせて抱きしめる・・・みたいなものがイメージとしてあった。
だから普段から女の子を可愛がったりしてたりと勝手に疑って嫉妬してたりもしてたんだけど・・・。



何でイメージが全然違ったんだろう。
普段甘えてきているようにしか見えない元親。
会社になると冷めてるし、私は泣きそうになるし。


「元親さ、普段と会社とで全然違うよね」
「まあなー、お前さんとは部署が違うからこうやってする相手がいねえんだもん」
「作ろうと思えば作れるのにね、今日だって告白されてたじゃん」
「なっ、見ちまったのか!?」

あんなにバッサリ斬っていたのにも関わらず、しまったという顔をする元親。
何が駄目なんだろうと考えてみるも残念ながら理由は思い当たらない、告白を受け止めたというなら別だけど。

「あー・・・名前?」
「ん?」
「俺には名前だけだからっ!生涯愛するのも名前だけだから!俺はお前だけのものだからっ!
 だから・・・だから、俺のこと嫌にならないでくれっ!!」

何を言いだしたかと思えば、私が気にしていたと勘違いしていたらしく。
あんなにバッサリ斬っていたのに勘違いなんて何もできないに決まってる。


「心配しすぎ、大丈夫。
 私は元親信じてるのに、元親は信じてないの?」
「名前・・・」

安心したような声音で私の名前を呼ぶ声と、さらに強くなる包容力。
今の元親も昼の元親も・・・全部元親だ。

「私もちょっと気にしすぎたね、ごめん」
「・・・俺信じてるから」
「うん、わかってるよ。
 だって私以外の人にこうやって抱きしめたり、キスしたり、それ以上の事したりもないみたいだったし、ね?」

元親のまわされた腕を取り、座る向きを変え、向き合って軽く触れるだけの口付けをした。
すると元親がお返しだと言うように何度も何度も啄ばむ様に口付けを落とす。

「も、とちか・・・んっ」
「愛してる、名前俺のこと好きだって言ってくれ」
「好きだよ、元親が・・・大好き」



どうせならこうやって元親が甘えてくれるなら私の前だけがいい。
私だけに見せてほしい。
こんなに愛おしい元親を他の誰にも見せたくない。

『ほんっと可愛いな名前は』
『じゃあ傍にいさせてよね?』

いつの間にか私にも独占欲が出てきちゃったのか、と元親を見ているとこんな私も仕方ないのだと納得がいった。


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第二弾クーデレ&デレデレの元親でした。
クールにしようとしたら冷たい人になっちゃいましたが、楽しんでいただけたら幸いです^^
アンケートご参加ありがとうございました!!



  


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