第一弾・元親(バカデレ→ツンデレ)
金曜の夜。
疲れた体をお風呂で癒し、同棲中である彼氏である元親にバトンタッチし、元親が上がるまではと転んでいた。
そして突然襲ってきた睡魔に勝てる訳もなくうたた寝をしてしまった。
起きた時には何故か元親の腕の中・・・。
「え、元親!?」
「起きちまったか、ま、このまま寝てても大丈夫なんだが」
「これどういう状況?」
「お前さんが寝てたからベッドまで運ぶかっていう、な」
どうやらソファからベッドまでの距離を運ぼうとしていたらしい。
いくら元親が力持ちだと言っても私は軽い訳ではない。
だから降りようともういいよ、と言ってみるが元親は離そうとはしなかった。
「別に重くねえんだからよ、よっと」
そして寝室まで着くとやっと私をベッドに降ろした。
元親は涼しげな顔をしているのがせめてもの救いだとほっとする。
「ごめんね、元親。
本当は上がってくるまで起きていようと思ったんだけど・・・いつの間にか寝ちゃってた」
「大丈夫だって、それに…―」
”どっかの童話にゃ、眠った姫さんを運ぶなんてシーンはいくらでもあんだろ?”
そう言って元親は私の額に口付けを落とした。
それはもうとてもロマンチックな台詞なんだろうけども。
素面の元親が言う言葉だとは思えない。
一瞬鳥肌が立った。
「元親・・・酔ってる?」
「はあ?」
「だってそんな眠ったお姫様〜みたいなこと言って・・・水持ってこようか?」
心配になって立ち上がって水を取ってこようとするが、元親の手によって阻まれ、終いには元親の腕の中に捕えられた。
「べ、別に酔ってねえし。
名前がどこぞの美人な姫さんにたとえられる訳がねえだろうが馬鹿野郎!」
「いや、美人とか思ったことないけど・・・」
「だから、そういう訳じゃねえ!」
すると珍しく物をはっきりしない口調で喋りだした。
「別に美人だとは思ってるけど、姫さんとかたとえたのは美人とかじゃなくてな・・・気持ち的なもんであってだな。
ただ好きな奴っていうのをたとえただけだ―・・・って何言わせやがる!」
「え、私のせいなの?」
いきなりの責任転嫁に多少焦ってしまう。
だってさっきまでたじたじしてたのに軽く叫びだしたから・・・。
元親は元親でいうと頬を少し赤く染めてこちらを向いている。
そんな表情されたら困ってしまうのはどちらかというと私の方だ。
そして、腕の中で顔を自分の方へ向けさせていった。
「いいか、勘違いするんじゃねえぞ!さっきのは大して意味はないんだからなっ!
ただ名前が好きなだけなんだからよっ!!」
結局は最後には子供っぽくなってしまった元親。
そして、思い出した。
元親、もとい若かりし日のチカちゃんは童話だってお姫様だって大好きだっていうことを。
「私も元親大好きだよ?」
だから納得した私は大人になった元親に意地悪く微笑んでしまうのだ。
結局は元親はいつまで経っても元親だ、と。
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第一弾バカデレ&ツンデレの元親でした。
もうお題からテンション上がりまくりでしたよー!!
アンケートご参加ありがとうございました!!
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