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長曾我部に告白された直後、私の携帯がなった。


「あれ、慶次・・・と鶴姫ちゃん?」

「二人がどうした?」

「メールみたいなんだけど、慶次がおめでとうって。
 鶴姫ちゃんもおめでとうっていうのと、もう暗いから先生が門閉じるって・・・急いで帰らないと!」

「そこかよ!」


普通はなんで二人がいないのにおめでとうってきてるってことだろ?、そう苦笑しながら長曾我部は私を撫でる。


「そろそろ帰るか」


そう言って差し伸べられた手に、手を重ねてやっと思いが通じたんだと実感して自然と頬が緩む。

あれ・・・。
本当に私彼女になったんだろうか・・・。
確かに好きだって言われたけれど彼女とは言われてないっていうか・・・。


「あの、長曾我部」

「どうした?」

「私って長曾我部の彼女になったの?」

「なってるに決まってんだろが、俺お前さんの彼氏になれてなかったらしばらく落ち込むぜ」

「違うの!確認なの!ちゃんと長曾我部は私の・・・彼氏・・・だから・・・」


どうしよう、今まで散々書いてきたヒロインにもその相手にも恥ずかしいこと言わせてきた身のくせに。
いざ、自分がこういう状況に陥れば『彼氏』という単語でさえもくすぐったくなってくる。


「照れんな、俺も恥ずかしくなるから」

「無理」

「即答かよ・・・恥ずかしがってても可愛いから俺はいいけどな」


繋がれた手を引かれ、バランスを崩したのをそのまま受け止められると額にキスをされる。


「馬鹿・・・!」

「ああ、馬鹿だぜ?」


からかうように笑う長曾我部に少しだけ我が身を案じる。
これからお付き合い慣れてない私はどうなるんだろう。


「いつか私だってそれぐらいするんだから」

「待ってっからよ、そんなことできるようになるのも斎藤の名前で本が出るのも」



まさかこの流れでくるとは思わなくて。
これは完全に反則だ。

惚れた弱みって大きなものだ。
きっとこれからそれを感じていくことになるのだろう。



だけど相手が長曾我部ならそれもいいなと笑ってしまうのだった。


「絶対両方やってみせるよ」

「おう」



手を握り返し、屋上の階段を降りていった。





    


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