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屋上へ上がるとやっぱり寒かった。


「もう冬なんだね」

「うちの学校取ってる時間は短いとはいえ夏から文化祭のことやってきたって考えたらすんげえ長く思えるよな」

「本当・・・台本書く前から舞台背景は決まってるからとか言って大道具とか作った人たちに関しては特に長く感じただろうね―っくしゅ!」


うう、やっぱり寒い。
さっきまでの舞台ではライトもあるし、動き回ってたりで汗も書いていたけどさすがは冬の屋上。
寒さが半端ない。


「俺のパーカーでいいなら着るか?」

「いや、それだと長曾我部が寒いでしょ」

「この着物結構あったかいから大丈夫だって」


そう言って衣装の着物の上から羽織っていたパーカーを私にかけようと長曾我部は後ろに回った。
だけど、背中に感じたのはパーカーだけじゃなかった。


「長曾我部?」

「斎藤、好きだ」

「えっ」

「この先どんな苦難があっても必ず斎藤を守り続ける。
 だからそのお前さんの恋心、俺にくれねえか?」

「うそ・・・」



長曾我部が私を後ろからぎゅっと抱きしめていて。
告白されていて。
しかも、聞き覚えのあるような台詞。


「もう私の心は長曾我部のものだよ」


お鶴の台詞を自分自身の言葉で返せば、腕に込められた力が強くなった。


「・・・一緒のクラスになってからのことを思い出してたんだ、最近。
 そしたら最後のシーン演じてる時にずっと斎藤の泣きじゃくって好きだ、大好きだって言ってくれた告白がエンドレスで頭の中で流れてた」

「い、意地悪」

「まあまあそう言うなって。
 なあ斎藤、俺のこと好きになってくれてありがとな」

「長曾我部も私のこと好きって、言って、くれて・・・駄目だ、嬉しすぎて」

「ったく・・・」


長曾我部はわざとらしくため息をつくと、一度背中を離れて真正面から私を抱きしめた。
また泣いてる、そう笑ってあの日のように親指で私の涙を拭う。


「これからもよろしくな」

「こ、こちらこそ・・・よろしく、お願いします」


どうにか呼吸を整えて、言い切ると長曾我部の笑顔がまた私の呼吸を乱すのだった。




  


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