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「やっぱり長曾我部に惚れたな」

「なんで、なんで!?なんでですか!?」


長曾我部との約束を明日に控え、今月の原稿について話終わってかすがさんに相談を持ち出した。
そして、長曾我部の名前はふせて学校の友達と遊びに行くと言えば『惚れたな』の一言。


「ここしばらくの様子を見れば誰だってわかる・・・にしても、恋愛作家が恋愛の相談とはいろいろと考えさせられる話だな」

「でも私そういう経験いっさいないですからね、それに関してはない胸を張れます」

「そういうこと男の前では言わない方がいいぞ」

「っ・・・わ、わかりました」


思わぬところでの忠告だけど、それはそれで大人しく受け取っておく。


「好きになってもらうなんてことはすごく難しいことだと思うんです、だからゆっくりでいいから自分にできることを」

「たるい!!!!!」

「え?」

「どこの結婚できないことを言い訳するいい年した奴の言葉だ、それは!
 確かに着実に攻める手はあると思うが相手は長曾我部だろ・・・一気に畳み掛けないときは畳み掛けないと女ができたら距離をとられるぞ」


そうだ、今は彼女いないんだよね。
それを思い出してかすがさんの意見に納得する。

でもそれが私にできるかどうか。

きっと鶴姫ちゃんの言ってた覚悟もそうなんだ。
何もできなきゃ何も起こらないし、何も進まない。



「・・・ちなみにかすがさんそんな経験があるんですか?」

「べ、別に毎日謙信様で妄想なんてしてないぞ」

「深くは聞きませんけどね、というかかすがさんレベルの純愛してる人のは怖いのでこちらから遠慮させていただきますから」

「何気にひどいからなその台詞・・・。
 まあ頑張れ、応援してるから」

「ありがとうございます」


なんでろう。
かすがさんは年齢的に考えたら私のお姉さん世代。
だけど時折お母さんを思い出してしまうのだった。






  


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