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どうして私はこの子に言ってしまったんだろう。
いや、ちゃんと理由があった。
というか、この子しか言えなかったのだ。
「お願い、鶴姫ちゃん!何でもするからどうやったら好きになった人の前で自然体でいられるか教えてください!」
「海賊さんの前で自然体、ですか・・・」
「いやいや、いちいち言い直さなくていいから!」
「落ち着いてください、でもわざわざ屋上まで」
長曾我部に誘われて次の日。
文化祭のための時間を少し抜けて、只今鶴姫ちゃんと二人。
「でもやっぱり私の言った通り海賊さん好きだったんですね!」
「うっ・・・」
あらあらあら〜と片手で口元を隠しわざとらしく笑う鶴姫ちゃんに対して何かをいいたいとは思うけれど何も言えず黙るしかない私。
直感だけどなんとなくこの人には勝てない気がしたり。
「じゃあこういうのはどうでしょう、私が名前さんの休日を占うんです。
その結果を知って心構えを持つというのは」
「ネタバレ?」
「ネタバレじゃないです、こんなかんじかな〜という風です!
それではズバッと占いますよ・・・那由多なり阿僧祇なり河沙なり思議なり無量なり、時を穿ちて神の集えに集い給いて聞し召しませ、聞し召しませ」
なんだか本格的な感じのものが聴こえた。
「・・・ぶっちゃけて言っちゃいますよ?
強く望むなら覚悟をするべきです」
「覚悟?」
「大丈夫ですからそんなに不安そうな顔しないでください。
いつでもあなたの傍にいる方がきっかけで決心できるはずです・・・私が言えるのはここまでですよ
あとは名前さん次第ですからね?」
「うん、ありがと・・・」
「あと年上の方にアドバイスとかもらったらどうでしょう、やっぱり経験が物を言う時代ですからね〜」
年上っていったらかすがさんしか頼れる人いないな・・・。
私の人脈のなさにちょっぴり悲しくなったりもしちゃうけれど決心するまでの時間はあんまりないんだろう。
「よし!」
拳をつくり、とにかく当たって砕けろでいいんだと笑った。
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