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「わあお侍さんイケメンですね〜」
「えっ!?」
一人でしばらく黙々と話を書いていたんだけれど鶴姫ちゃんの突然の声で驚いて思わずシャーペンを落とした。
はい、と鶴姫ちゃんが拾ってくれたのでありがとうと返す。
「でも海賊さんがやるっていうのが不本意ですね。
そういや口調が心なしか海賊さんのような気がします」
「そうかな・・・あ」
よく見直してみれば完全に台詞が長曾我部の口調。
『俺が全部受け止めてやるから』
この言葉は完全に先日の長曾我部の言葉。
それを無意識に書いてしまった私は一体どうしたんだろう・・・。
「お、だいぶできたのか?」
「あ、だめっ!」
鶴姫ちゃんの反応を見てだいぶできたと思ったのか長曾我部がだいたいの話を書いていた紙を私から奪う。
するとしばらくして私と同じように気づいたらしい。
「これって」
「今すぐ書き直すから!
違うの!私も無意識だったの!」
「実体験だったんですか?」
『っ!?』
まさかの鶴姫ちゃんの一言に言葉を失ってしまう。
「あら〜海賊さん最近名前さんと仲いいと思ってたら」
「いや、あの」
「名前さんもやりますね!
無駄に色男な海賊さん落としちゃうなんて」
「鶴姫ちゃん、それは長曾我部に失礼だから!!」
確かに長曾我部にはそんな気がないのはわかってる。
だけどもしかしたら私の方から・・・長曾我部のことを想っているのかもしれない。
鶴姫ちゃんの言葉に言い返したあと少しだけ思った。
「じゃあ・・・海賊さん、アウトです」
するとそう言って鶴姫ちゃんが長曾我部を追い払うジェスターをする。
今回ばかりは大人しく退散した長曾我部。
「名前さん・・・」
「ん?」
「恋っていいですね〜」
「うん」
「恋してる名前さんとっても可愛いです」
「・・・・・・え!?」
まさかの鶴姫ちゃんの私が恋愛してる発言に耳を疑うのだった。
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