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夏休み初日に慶次に長曾我部の連絡先を教えられるのを拒否されて、代わりに慶次が長曾我部にちゃんと連絡してくれていたみたいだった。
そして迎えた祭り当日。
天気は危ないけれどなんとか開催するらしい。

私たちは日が暮れてから開催場所である神社に集合した。


「長曾我部来た来た!」

「ほら落ち着いて、浴衣が乱れちゃうから」


長曾我部が来たことによってやっといいにおいの我慢もなくなる。
やった、と飛び跳ねれば慶次が私を宥めて苦笑する長曾我部。

「遅くなって悪いな」

「大丈夫だよ、それより早く行こ、私お腹すいた!!」

「ったく、相変わらず屋台メインで来てんだから」

「毎年こんなんか、大変だな慶次も」


後ろで男二人が何か言ってるけれど気にしない。
そんなこと気にしたって私は屋台ではしゃぐけど・・・だってこういうの好きだもん。


「じゃあどうする?
 名前はもうりんごあめやらたこ焼きやらと一通りいつの間にか買ってきたみたいだけど」

「いつの間にかじゃないもん。
 ・・・でもね、私金魚掬いに行きたいなって」

「いいけど、何でまた金魚掬い?」


私は不器用だけど金魚掬いは結構できたりする。
そして何でと聞いてきた慶次にウインクする。

金魚掬いでおじさんにそれぞれポイを貰う。


「第一回金魚掬い大会!」

『?』

「ルールは簡単、これから3人で掬う金魚の数を競います!
 一番多く掬った人が勝ち、その人はあとの二人に命令できます!」

『・・・仕方ないか』


ちゃんと乗ってくれた二人。
ちなみに慶次はとてつもなく弱く、一匹を掬う前にポイは駄目になっていた。
残った長曾我部はすでに4匹、5匹と掬い上げていた。

これは慶次の為にも負けられない・・・。
私はその数を越えてやろうと勢いよく掬い上げていた訳だけど。

『あっ』

長曾我部と同じ金魚を狙って同時にふたつのポイがだめになった。
結果先に金魚を掬っていた長曾我部が勝った。


「ごめん、慶次」

「名前が俺に何を誤っているのかよくわかんないんだけど」

「いやだってさ―」

「んで俺が優勝した訳だな・・・じゃあ斎藤が慶次に抱きつけ」

「元親・・・!」

「長曾我部の馬鹿・・・」


慶次の気持ちも知らないでと怒りたいところだったけれど、私からは言えないので黙って慶次に抱きついた。
慶次が少し照れた顔をしていたので可愛かったので今回は長曾我部を許すけれど・・・。
やっぱりいろいろと釈然としない私だった。




  


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