姫愛。様/オープン記念フリリク/元親夢
姫愛。様より
Thank you:
夏の雪とちょこれぃと【ゆめかたり】
ちっと外出ねぇか
そう誘われ、賑やかな大広間をそっと抜け出した。
なんでも今日は、新しいカラクリの完成祝いだとかで宴が開かれているのだ。
「今日は無礼講だ!」と元親さまが景気良く叫んだこともあって、宴会場はいつも以上の盛り上がりを見せていた。
あまりお酒に強くない私はちびちびと呑んでいると、すでにほろ酔い状態の元親さまがそっと耳打ちしてきたのだった。
元親さまに手を引かれ、船の甲板まで出ると月の柔らかな光が降り注ぐ。今日は雲が少なく、一層月が綺麗に見えた。
「折角のいい月夜だからよぉ、アンタとゆっくり見てぇと思ってな」
船の上に座り込んだ元親さまがポンポンと隣に座るよう促す。示された場所に腰を下ろせば、ぐいっと肩を抱き寄せられた。
至近距離で感じる潮の香りになんだか安心して、そっと彼にもたれかかる。
「……なぁ、名前」
「なんですか?」
「アンタには、夢ってのはあるか?」
宴会場から持ってきていたらしい杯をぐい、と煽りながら元親さまが問う。ほらよ、と差し出された杯を遠慮がちに受け取った。
「私の夢、は…」
杯に満たされた酒に満月が映っている。それが風で揺れるのを見つめながら、言葉を続けた。
「…いつまでも、元親さまのお傍に…」
言い終えると同時に照れを隠すように杯を煽った。
元親さまはそれを見てニヤリと笑うと、私の頭を撫でながら顔を覗き込んできた。
「そいつぁこの西海の鬼を口説いてんのか?ん?」
「っ…!!」
真っ赤になった顔をふいと逸らすと、元親さまがはは、と笑った。
大広間からは、いまだに楽しそうな話し声や笑い声が聞こえてくる。
不意に、わしゃわしゃと私の頭を撫でる手が止まった。元親さまを見上げると、先ほどとは打って変わって、真面目な顔をしていた。
「…元親さま?」
「…名前。俺の夢、言ってなかったな」
そう言った元親さまは私から月へと視線を移すと、俺もだ、と呟いた。
「俺も、惚れた女……アンタと共に居てぇ」
さぁ、と風が吹き、元親さまの銀の髪が月明かりでキラキラと輝く。月を見上げたままの彼の横顔がほんのり赤くなっていた。
私が見ていることに気づくとそれを隠すように頭を彼の胸に押し付けられた。
「この乱世だ、いつこの首が飛ぶかもわからねぇ…。それでも、アンタは俺の傍に居てくれるか…?」
どくん、どくんと聞こえてくる心音がいつもより早い。きっと私の鼓動もこのくらいで、顔だって彼と同じくらい赤くなっているだろう。
「…もちろんです、元親さま。私が寄り添う旦那様は貴方だけです。…それに、元親さまは強いですから」
絶対、負けるなんて有り得ません。
そう言って彼を見上げ微笑めば、元親さまに強く抱き締められる。潮の香りに包まれながら、広い背中にそっと手を当てて目を閉じた。
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姫愛。様よりいただいちゃいました(//ω//)
大人げもなく元親あああって感じになってしまうほどの男前元親さんありがとうございました!!ばんざーい!!
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