君に夢中(ルイツ様/瀬戸内/現代)











七夕になると毎年元就の元へ言葉が贈られる。
それは手紙の時もあったし、メールの時もあったし、ただの一筆書いた紙の時もあった。
だが内容はひとつも変わらなかった。

元就が元親と出会い、今日この日まで毎年言葉が贈られた。




『一緒に星を見ようぜ』



と。



**********



今年もか、と半端呆れながら元就がいつもの場所・・・元親との約束の場所である川原に行ってみれば図体の大きな体とは対照的に体を小さく縮こませて座っていた元親が見えた。

「やっと来たか」

元就に気付くと元親は手を大きく振った。

「貴様も飽きぬ奴ぞ」
「まあそう言うアンタも毎年のように来てる訳だけどな」
「ふんっ・・・我は夜の星より日輪の方が好いておるわ」


元親は元就の言葉に笑いながら体を大の字に広げて転び、元就もつられて横に転んだ。

「ここの見晴らしだけは褒めてやらんこともない」
「そうかよ、ありがたきお言葉なこって」

元就と元親が二人で星を見るのは七夕だけで十数回ということでは本当はなかった。
前の世からも二人は数十回と見てきた。
七夕だろうが、いつだろうが血の匂いがまわった戦場で星を見てきた。


「綺麗とは認めてやる」
「俺にとってはアンタの方が綺麗で仕方ねえけどな」
「ぬかせ」
「・・・・・・」


二人は本当は前の世から繋がっていたとわかっていた。
本当は気持ちだって通じ合っていたとわかっていた。


一切過去を持ち出す話はしてこなかった。


だが、沈黙の後元親が一言言った。


「生まれる前からずっとアンタだけが好きだった」
「・・・・・・・・・」
「本当はわかってんだろ、ただの関係じゃねえって」
「・・・そうだな」

元就は静かに首を縦に振り、元親の頬へ手を滑らせた。
元親はその手を掴み、元就を己の方へ引き寄せた。

「愛してる」

そう言われた元就の顔は真っ赤に染まり、夜空の星よりもずっと元親の目からは離れないものだった。




君に夢中
(ほんとに目から離せねえ奴だな)
(う、煩いっ、貴様は黙って星を見て翌日にでも首を痛めろっ!)


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ルイツ様リクでした!
瀬戸内腐になっておりますでしょう!!?
楽しんでいただけたら幸いです、ありがとうございました!


  


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