無自覚の彦星へ(はるか様/『年下のアイツへ』番外/ほのぼの)












いつものように部活が終わり、その後も少し残って自主練をしていた。
そしたら仕事を終わらせたのか、既に一度職員室へ帰ったはずの伊達先生が道場に戻ってきた。

「先生、お疲れ様です」
「kittenも精が出るな、お疲れさん」

先生が私にタオルと飲み物をくれたのでそこは素直に受け取っておく。
それにしても、先生がこちらに戻ってくるのは珍しいので私はそのことばかりを考えていた。

「もう帰るか?」
「まあそろそろ帰ろうと思いますけど」
「じゃあ俺の家にー」
「お腹すいたので直行で家に帰ろうと思います!」

・・・本当にこの人は。
確かに先生との関係はただの教え子とかの関係ではなくなったけども・・・。
それでもばれたら先生がとことんやばいし、私には隠すために会うこと自体我慢しているというのに。

「先生ご自分の立場わかっていますか?」
「kittenのdarlingだ」
「いやいや、その前に教師でしょう!」
「んなもんついでだ」
「そんなこと言って・・・片倉先生泣いちゃいますよ」

いや、ぶっちゃけ泣くというより伊達先生怒られるんだろうな。
説教されるんだろうな。

「まあわかってる、kittenに我慢さしてるのも、ひやひやさせてるのも」
「ならいいですけど」
「でもな、今日もう小十郎にkittenが来るって言っちまったんだよ。
 だから選択肢はもうないぜ you see?」






そんな訳で先生に連行されました、帰り道。
親には電話入れたら大丈夫そうだったけど。

「断れない私も私なのか・・・」
「どうした?」
「いえ、何もないです。
 そういや今日は七夕でしたね、星が綺麗に見えます」

話題を変えるために七夕の話をすれば、先生は目を丸くして驚いていた。
え、私変なこと言ったっけ?

「今の今まで気づいてなかったのか?
 七夕って言ったら恋人たちの日だろうが」
「織姫さんと彦星さんですねー、会えてたらいいですね」
「おいおい、だから俺がわざわざ戻ってkittenに会いに来たんだろうが」
「え・・・」



先生が戻ってきたのは七夕の為ー・・・。
つまり言い換えてみたら私の為。

なんでいつもこの人は大事なことをちゃんと言ってくれないんだろう。
私がいっつも気付けてないじゃないの。


「馬鹿っ、ちゃんと理由ぐらい教えてくれたっていいじゃないですか!」
「気付かねえほうがどうなんだ、そこは」
「これじゃ私取り残されたみたいじゃないですか!先生の馬鹿!」

思いのままを先生に文句言ってみたら先生が少し困った顔をした。
余裕な態度見せつけられてるからちょっとざまあみろ、とか思ってしまう私は彼女としてはどうなんだろうね。
まあ、でもいっか。
普段見れない一面を私だけが見れてる訳だから。

そんなことを思っていれば知らぬ間に近づいてきたのは先生の顔。


「何笑ってんだ?」
「え、いや、べ、別にっ」
「安心しな、俺は名前をどこかに残したりはしねえよ」
「・・・そんなこと気にしてもいませんでしたよ。
 ただなんかこういうこととかあるなら私だって立場を考えたくなるもんなんです、彼女として」

未だに私本当に彼女なんだろうかとか思ってしまうんだから仕方ない。


「いつも言ってんだろ、俺の女はお前だけだって」


先生の言葉を聞くまでは本当にいろんなことを気にしてしまう。
それでも先生の言葉聞くたびに気にしてたことが馬鹿らしくなってくるほど、先生が好きだと思える。

「残して消えたりなんかしたら本気で怒りますからね」
「しねえって。
 ま、同じようにkittenがどこかに行くのは許さねえし行ったりしたって連れ戻してやる」
「先生なら天の川だって飛び込んできそうですね」
「of course.」


天の川で待ってる織姫を一年に一度会いに行こうとする彦星も格好いいけど。
やっぱり私としては意地でも川を渡ろうとする先生の方が性に合う。


「離すつもりはないからな、・・・名前」



いつだって先生の前ではいつも通りの私でいたいから。
まだ自分から好きだとかそんな甘い言葉は紡げない。

だから今はまだきっと私の想いの大きさは先生は気づかないだろうね。
でもいつかちゃんと成長してはっきり言ってやろう。
好きだ、って。





無自覚な彦星へ
(私だって天の川ぐらい越えてやりますけよ)
(Ha! 相変わらずだな・・・ま、kittenはそのままでいろよ)



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はるか様のリクでした!
ほのぼのということでしたがちゃんとなってるんでしょうか笑?
ありがとうございました!

  


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