遅い人(篝様/元親/現代)
「遅い・・・」
元親がせっかくだからと七夕に一緒に星でも見ようと私に言って約一週間。
やっと約束の日が来たと思ったのに元親はまだ来ない。
・・・そりゃさ、遠距離恋愛のおかげか外で待たされるわけでもなく、涼しい自室待っている訳だからまだ外で待たされる女の子よりもしかしたら恵まれてるのかもしれない。
でもね、やっぱりないでしょ。
家に連絡もない、私に連絡もない。
何この状況?
いらいらして時計を見るたび日付が変わる時間に近づく。
もうすぐで日が変わりそうになる、その時だった。
「名前、いるかー?」
元親がやっと来たらしい。
玄関が開いた音が聴こえた。
それでも素直に出て行くのは何か癪で部屋に籠ってた。
そしたらどんどん近づいてくる元親の足跡。
「名前!会いたかったぜ!」
「・・・・・・久しぶりだね」
元親がいつものように両手を広げて抱きしめてやるみたいな顔してるけど。
私が冷たくあしらってると不思議に思ったのか距離を縮めた。
「どうしたんだよ、具合でも悪いのか?」
「別に悪くないし」
「なんかあったか、どうしたんな機嫌悪くしてよ?」
「別に何もなかったし」
「久々に俺に会えたってのに嬉しくねえのか?」
「別に嬉しいけど」
「っ・・・この流れでそれはなしだろ・・・」
「え?」
「どうせ俺が遅かったからだろ、悪かったな。
でもせっかく星を見に行こうと思ってたのに今のんな可愛いところ見せられたら出て行きたくもなくなっちまう」
「・・・は?」
元親がまた勝手に一人でいろいろ言ってるだけだと思ったのにいきなり私を抱え込んでベランダに連れ出した。
時計を見るとあと数分で12時というところ。
まあ本来の目的はぎりぎり叶ったっていうところか・・・。
「午前中に雨降ってたけど大丈夫だったみてえだな」
「うん、良かった」
「綺麗に見えてんな」
「うん」
私の反応がやっぱり悪いと思ったのか元親は話題を代えて雰囲気を明るくしようとしていた。
元親が星見たらもう私だっていつまでもいじけてる訳がないじゃないの。
「願い事決めたか?」
「・・・元親がちゃんと余裕を持って約束守ってくれますように、と」
「まだ怒ってんのかよ」
「別に怒ってないし、元親が何考えてるのか知らないけど私怒ってないし」
「二回も言ってんじゃねえか」
元親が仕方ないなと笑ったのでふいとそっぽを向くと後ろから元親が抱きついてきた。
「元親、熱い」
「いいじゃねえか、何日ぶりだと思ってる。
彦星や織姫程とは言わねえがめったに会えてないんだぞ」
「じゃあ来年はちゃんと早く会いに来てくれる?」
「もちろんだ」
「ならいいよ」
元親の頭を軽く撫でてみると嬉しそうに笑った元親が何の前触れもなく軽くキスをした。
そして、ついには前に回ってきて唇を奪ってきた。
「ちょ、元親?」
「いいって言ったのは誰だっけなあ、織姫さんよ」
そう言うなり私をまたも抱え上げ部屋の中に連れ込み、ベッドの上に押し倒した。
元親の目は完全に今すぐ事を起こそうとしている目だった。
「せっかく、星見、るって・・・あっ」
「んな口実だけに喰いついてくれるなよ、俺が来たのも名前に会うために決まってんだろ」
じっとしていても暑いのに、とどめの元親との行為で今にも倒れそうになるきがしてくる。
でもその体を留めるのは快楽を求める気持もちだろう。
くらくらしているというのに未だに倒れる気配はない。
「まあこっちのほうはちゃんと喰いついてるんだけどな」
「やっ、だめ、ちか・・・強い」
「気とばすなよ、せいぜい星出てる間は楽しませろよ?」
日の出まであと数時間。
彦星は離してはくれないんだろうな。
終わったらちゃんと本当の願い事を叶えてもらおう、今日はずっと一緒にいてって。
私の不機嫌な気持ちはもうどこか遠くへ飛んで行った。
遅い人(来年は早く来てよ?)
(馬鹿、来年はもう同じ家だよ)
###
篝様のリクでした!
裏も私が暴走したくなりそうでした(/ω\)
ありがとうございました!
* →