田村名前という女。

最初から変な奴だとは思っていたが、なんとなく理にどこか似ていると思っていた。
二人ともどこか人とずれているという訳ではない。

まずひとつ剣道が本当に好きな奴等だ。
また、女らしいけど、女らしくない。
男にだってびびらずに干渉してくる。
そのくせに男女の交際なんかのことについてになると二人とも理由は違えどあまり関心を持たない。



それでも、ひとつだけ決定的に違うと思ったことがあった。

理は正直鈍感な奴だった。
俺の好意なんてもうないものだと思っているようだし、元親の事だって始まりは遅かった。
その点田村は違い、カマをかけたのかはわからないが俺の傷心理由を一発で当てた。
それは大きな違いだろう。

もしかしたらいつか俺の心まで読むのかもしれない。
そしたら心の傷を慰めてくれるかもしれない・・・なんて一生徒に期待する馬鹿な俺自身がいた。

何を期待しているんだろうな。

それでもやっぱり恋で負った傷は恋で埋めるものなのか。
心を埋めてほしかった。


小さいころから人一倍人の愛情に飢えていた俺は正直大人になるにつれて女を抱く回数なんてものは増えていった。
理と学校生活を送っていたときだってそうだった。

あいつの心を手に入れられないから代わりに他の女を抱いて性欲だけ吐き出して、満足できなかったら何人も女を捨てた。
今でも回数は減ったがしていることはしている。
自分を最低な男だと思う。


だから田村をと思っている訳でもない。
ただ理がいつか元親と結婚してする時が来るとき感情の種類は違えども理が好きな田村に傍にいてほしいと思った。

それが俺の未練からは結局来ているんだろう。
せっかくここに戻ってきたのにまた理中心で回っていた。
なんとかしないといけないとは思うが、相手が相手なだけに相談は誰にもできなかった。





  


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