一年だとはいえもう初々しさもなくなってきた頃。
学校にも慣れ、私もなんとなく高校生になったんだなという自覚が出てきたような気がした。

でもそれはそれで、これはこれ・・・。

私は委員長という立場がほんとに今でも慣れないし、馴染めない。
評議員会とかある訳だけど、そこにいる人は皆に選ばれてなった人だ。
でも、私の場合は違う。
伊達先生の話を聞いてなくてなっちゃった子だ。
話すことも違えば、オーラだって違った。

会が終わると担任にまとめを出さないといけないので教室に戻って書こうと教室に戻った。
何故か伊達先生は部活に行ってる訳でもなく教室にいた。

「田村やっと終わったか、どうだ慣れたか?」
「慣れてはないですね、御陰様で」
「Ha! そうか」

本当に話聞かなかっただけでこの人はこんなことをしたんだろう。

「報告書は書けたか?」
「今から書くんです。
 それで先生は部活に出なくてもいいんですか?」
「気分的にな・・・」

この人が真面目だとは最初から思ってなかった。
それでも剣道は好きみたいだったから先生の言葉は私にとっては意外だった。

「何かあったんですか?」
「まあ大人の事情がなんとやらというところか」
「斎藤先生も罪作りな方ですね」
「なっ」

カマかけて斎藤先生のことを話してみると一瞬焦った顔をした先生。
まさかの図星だ。
それにしても、前々の態度からみて思ったけど本当に好きなんだね。

「そんなわかりやすい反応するんですね、先生も」
「・・・よくわかったな」
「Honeyと呼んだり、愛しそうな眼をしながら言えることですか」
「鋭いな」
「さんざん二人見てますからね」

伊達先生の落ち込み具合から昨日は大きなことがあったんだろう。
目の下に隈ができていてちゃんと睡眠取れてないことだってわかる。


「ちゃんと休んでくだささい」
「わかったよ、kitten」

そう言った先生は私の頭を撫でた。

というか、kittenって何だっけ・・・。
確か・・・・・・わかんない。
私英語苦手なんだよ。

「先生kittenって何ですか?」
「アンタのことだな」
「生徒ってstudentです、それぐらいわかります!」
「”子猫”だな」

顎を取られ、不敵の笑みで言われた。
これはイケメンな先生に子猫だなんて言われて喜ぶべきなのか、それとも人間扱いされていないことに対して怒るべきなのか・・・。

結果的に私の中では後者が勝った。
頬を軽くはたき自分の席へ戻った。


「ってえな」
「人間扱いしてください」
「Ah-? 却下だ」
「はあ?」

こちらを見てニヤニヤしている先生はもう放っておいて、私はただ報告書を書くのに勤しんだ。
人間扱いしてくれない先生なんてもう知らないんだから。





  


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