高校入学一年目、とうとうクラスが発表された。
初めて見る中学校は違う同級生の名前、先生の名前・・・凄くどきどきしたものだった。
そして、友達も同じクラスにいてほっとした安堵感があった。

1年5組、そう掲げられた教室に入ったところまではずっと私の胸の高鳴りは止まらなかった。

私がこんなにも緊張している理由、それはこの学校にあった。
それは好きな人がここの卒業生だから。
勿論芸能人とか作家さんとか、そういうのではないが人として憧れている人がこの学校の卒業生だから。



五年前、私は憧れているの人に出会った。
その人はまだ小学生で事故に遭いそうになった私を助けてくれた。

ここまで言うと初恋のフラグが立ちそうなところだけど、残念ながらその人は女の人。
それでも本当に格好良かった。
剣道をしていたのか、竹刀袋を肩に掛け、頭を一つに纏めていた。

ただの剣道部員だと言われても否定しようがないのだが、本当に格好いいと思った。
その人は私のお礼もいいからと一言で切り、名前も言わずに去っていった。
だけど、名前だけは微かに周りから理と聞こえてきたのでわかった。





いつ思い出してみても並みの男より格好いいと思う。
その人の制服姿から高校を探し、ここの高校に入ったという訳だ。
単純だけど・・・勿論他にも理由はある。

私はまあ単純と言われて否定できないけど、その人に出会って剣道格好いいなと思って剣道始めちゃったわけだ。
そしたらモチベーションが下がることなく続けてたので努力を重ねていけば、緩い並大抵の人と比べたら技量も上がっていったわけで。
結果、剣道の強いこの高校へ入った。


ということで私は仮入部までの時間など退屈なものではなく、剣道部は入ったらOGとして来てくれたその人にばったり会ったりなんか・・・とか思ってしまったわけで。
担任の話なんか全然聞いていなかった。

そしたら、何故か委員長に指名されたわけでしかも「俺の話を聞かねえのが悪いんだぜ」、そう言われる始末。

運悪いなーとかちょっと思いながらも、私は期待でいっぱいでHRを進めていたのだった。




  


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