名前との今後の関係を考えるまま、いつの間にか文化祭前日を迎えた。

「よし、明日から頑張るぞー!!」
『おー!!』

クラスで円陣を組んでいる中真ん中で声を張り上げて頑張る名前の姿が微笑ましい。
委員長なんて柄でもなかった奴がクラスの中心にたっているところを見て教師としても嬉しい。
だが、男としてはなんだが複雑だったりする。


名前のことが好きで、好きで仕方ない。
自分でもはっきりと確信できるほどだ。

でも将来を潰してしまうのなら・・・そう考えてここしばらく少し距離を開けた。
名前が休部中の今まず距離なんて近いものではなかったといえばそうなんだが。
ただできるだけ彼女を見ないように、触れないように、名を呼ばないようにしてきた。






「先生、報告いいですか?」

しばらくして、文化祭についての話し合われる委員会も終わったのか名前が来た。

「・・・ああ」

二人きりということで対面にはなるが、少し目線を逸らしてしまう。
こんな時まで見ないようになんて自分でも馬鹿げたように思うが、そうでもしないと耐えられない。

「これが明日のタイムテーブルです、あと最後に確認すること」

もらったプリントに、これ幸いと目線を落とす。

「先生・・・」
「どうした?」
「・・・・・・・・・なんでもないんです」

つい顔を上げた先には名前の笑顔。
今まで我慢してきたというのに・・・。


そんな可愛い顔見せられたら今までずっと考えてきたことも無駄に思えてしまうじゃねえか。

こいつのこと考えて離れたほうがいいのか、なんて考えてきたがやっぱり一緒にいたくて仕方がねえ。
生徒と教師だって考えられなくなるほどに。


”政宗は夢とあの子、どちらを取るの?
 でも夢を失った時点であの子とはお別れになるかもしれないけどね”

手を伸ばせば触れられる距離。
それでも成実の言葉がひっかかって手を伸ばせない。


「kitten・・・今日は早く帰れ」
「っ・・・・・・」


一瞬名前の顔が引き攣るのが見えた。
やっぱり薄々気付いてはいるのだろうか。
冷静なふりして本当は自分がぶるぶると震えている。
ああ、かっこわりい・・・。

それでも、こんな俺に笑顔でさよならと言う名前に惚れ直した。




  


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