なんだか先生とまももに話したのは久しぶりではあったけれど、安心した。
自分だけが想ってるわけじゃないって感じられて。
「私も先生と一緒にいたいです」
「ああ、その言葉裏切んじゃねえぞ?」
「誰が裏切りますか、裏切るわけがないです」
先生との約束は意地でも守る、そう断言しようとした時にノックする音が聞こえた。
「Shit!こんな時に誰だよ・・・」
少しいらっとしながら先生がドアを開けると見慣れた顔。
小十郎先生だった。
こんな風に一緒にいるところを見られるものだからもしも生徒で変な誤解を受けたらどうしようと思っていたので少しほっとした。
「なんだ小十郎かよ」
「政宗様・・・残念ながら小十郎だけではありません。
成実が来ております」
「Ah-・・・成実?」
「やっほー、梵久しぶり!!」
ほっとしたのは束の間だった。
成実という名前の主はやっぱり私が知っている成実さんのことだった。
ハイテンションで中へ入ってくるなり私の前へ立った。
「こうやって会うのは初めてだね。
じゃあ改めてはじめまして、俺はご存知の通り伊達成実。
梵の従兄弟だ」
「こ、こちらこそはじめまして・・・。
田村名前です」
背中に冷や汗が流れるのを感じた。
いくら笑顔を向けられようとも私からまともな笑顔を返すことはできない。
「おい成実・・・いつkittenに会った?」
「えー、俺この子に今初めて会ったよー。
もしかしてこの子が梵の彼女?」
駄目、もしここで認めてしまえばここで先生と一緒に過ごすことはもう不可能となってしまう。
先生の夢もここで終わる。
「あ、わ、私!」
「kitten?」
「実は副委員長待たせたままだったりするので失礼します。
そ、それにしてもー、先生の彼女に見られるなんて光栄なもんですね!!
いやあ成実さんもおだてがお上手なことで!何もでませんけどね!!
失礼します!!」
持ってきたノートを強く掴み、急いで準備室をあとにした。
自分ではかなり苦しいところ。
あれで成実さんに関係は何もないと思ってもらえればいいけれど。
「私って本当こういうのわかんないや・・・」
先生ならもっと・・・いや、先生だけじゃない。
きっと私以外の人なら―、器用に交わせられるんだろう。
自嘲気味に頭を軽く叩くとたいして痛くもないくせに泣きそうになった。
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