放課後、さっそく道場へ行ってみると人数が増えていたのがすぐにわかった。
今日から仮入部かと、納得もいく。

俺が顧問になった剣道部。
剣道部は全国へ行きだし、人気の部活となったことはなった。
なったと言い切れないのは全国行こうとなると練習もそれなりに厳しくサボる奴も少なくないということだ。
まあそれでも止める奴はあんまりいないからよしとはしている。


「よおhoney、剣道部人気じゃねえか」
「あ、伊達君。
 へへ、これは私たちが頑張った成果だよ。
 ほんと毎年たくさん来てくれて嬉しいよ」
「まあそのうちサボる奴が出てくるとしてもな。
 相変わらず男ばっかだな」
「それでも女子がさっそく入ったよ」

誰よりも一番にほら、と入部届の紙を俺の前に突き出した。
紙には綺麗でも汚くもない字で『田村名前』と記されてあった。
・・・ああ、俺のクラスの奴じゃねえか。

「あいつが入ったのか」
「知ってる子?」
「俺のクラスの委員長だ・・・なんかサボりそうな奴だな」
「そんな感じじゃなかったけど?
 伊達君人を見た目で判断するのはやめなさい」
「そうだな。honeyの例もあるしな、生徒と結婚するっていうー」
「私まだ結婚してない!」

恥ずかしがったのか、耳まで赤くさせてそう叫んだ。
まああれだけ好きだ好きだといってる様子を見せられてこうまで今更ながらに照れられるともう清々しくなるよな。
この様子じゃ元親も我慢させらてんだなと笑いも自然に込み上げてくる。


「それで小十郎は?」
「先輩は仮入部の子の指導、私たちは現役の指導。
 じゃあ行こうか、そうだ田村さんっていう子ももう現役に入れるから伊達君よろしくね」
「I see. つっても体力作りからだけどな」

既に小十郎が新一年生を指導しているのが見えた。
指導と言っても初めの挨拶みてえなもんだ。
その内今の部長と変わったりするんだろう。
なんとなくだが、俺が現役の時が懐かしく感じた。



「hey, アンタ剣道部に入るなんてな」
「まさか伊達先生、剣道部顧問でしたかー」
「ああ、まあな」

結局大会が適度に近いので理は現役、俺は現役扱いと言っても一年である田村を見ることになった。
田村は俺を見てポカーンとしている。

「そんなに俺は意外か?」
「いえ、先生剣道部やってたんですよね?」
「まあ、5年まえまでいた訳だからな」
「5年まえ・・・・・・じゃあ理さんという生徒さんはおられました?」

理という名前。
たしかその歳は性別が女っていうのもあいつだけだったはずだ。
それでも生徒ではない。

「理ってのはhoney・・・斎藤先生のfullnameだ」
「え、でもそんなはずは・・・・・・」
「知り合いか?」
「私が昔知ったんですけどね、でもその時は制服着てたので。
 一体誰だったんでしょうね?
 まあ今はいいです、ご指導よろしくお願いします」
「・・・ああ」

何故か理のことを知ってる田村に疑問を抱きながら、基礎練を徹底的に教えて行った。
意外と体力があるらしく現役でさえ少々きついものも何と言うこともないようにこなしていった。
ただ俺の中にできた素朴な疑問がずっと頭の中にあった。




  


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