このあとも頑張れよ、そう言って何も考えてなさそうに後ろ手で手を振ったもののすぐにため息が溢れた。

結局俺はというと、名前が気づかないままに他の男に取られそうになったのを阻止したわけなんだが。
・・・Shit!

確かに自慢の女ではあるんだが。
まさか他の野郎に狙われちまうなんて思ってもみなかった。


後夜祭の屋上。
男女が二人でそこでキャンプファイヤーに負けないぐらいの熱いkissをすればずっと一緒にいられるというジンスク。
確かに元親が実行し、結果結婚まで持ち込んだわけだが。


あの男・・・名前をやるわけがないだろうが。
しかも名前の方は気づいてなかったみたいだったし。

こうもわからないことが多いと逆に清々しくなってくる。
そうだよな、あいつは剣道と理ぐれえのことしか興味はなかったもんな。
今は俺のこと好きだと言ってくれてはいるが、先に好きになってしまったぶん凄く心配だったりする。
久々に話したかと思えば悪態つかれたし・・・そうさせたのは俺だけど。
別に、信用してないとか・・・そういうわけじゃない。
ただ彼女の無防備さに本当に気をやってしまいそうになる。

つこうと思ってなくても、またひとつため息をついてしまう。
本当俺どうなっちまってんだろうな。

「先生!」

後ろから大きな声で呼ばれたので振り返ってみれば肩を上下させて息をする名前の姿。
一応周りの目もあるから普通に接しようとはするが、最近ずっと触れてなかった分凄く愛おしい。


名前の髪に、頬に、唇に触れたい。

そう思ってしまう。


「今日提出の課題出すの忘れていました、先生もお気づきなら声をかけてくださってもよかったんじゃないですか・・・使えませんね」

まあそんな俺の気持ちを踏みにじる雰囲気となったんだが。

でも、名前が持っているのは既に提出済みの課題。
根は真面目なこいつはだいたい提出物の期限は守るから一瞬考えてしまったが、なんとなく意図に気付くと口元が緩む。


「Ha!教師に使えないなんてな。
 罰だ・・・自分で準備室まで持ってこい、使えない俺に課題なんて重いもんもたせんな」
「なっ、何様ですか!?」
「何って決まってんだろ、政宗様だ」

小十郎が言っているとおり、自分でも政宗様と声を出して言ってみれば名前が噴きそうになったのが見えた。
それでも、スカートの端をギュッと持って頑張って耐えている。


久々に少ない時間とは言え、二人の時間だ。

そう思えば、今までの離れたことなんてどこかに飛んでいった気分だった。





  


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