文化祭までの準備って時間をかければみんながまとまっていくのか、女子でも先生を狙う子は少なくなった。
たぶん今忙しい間に狙わなくってもいいか、みたいな考えなのだろうけれど。
私はそれでもホッとする。

先生が他の子のところにいかないとは信じているというか・・・。
もう行かないってわかってる感じで。
我ながら自惚れてるとは思う。
でも先生とは話はろくにできてはいないけれど、もらった返事を見返すたびに先生は変わってないんだって思っちゃう。
顔も緩んじゃう。


「おーい、田村。
 何さっきから一人でにやついてんだ?」
「え、に、にやついてなんかないって!!」

そうなるとたまに副委員長から指摘がある訳で。
実のところビクビクしてたりする。

「何考えてんだよ?
 さっさと決めねえといけないこともたくさんあるのに」
「ああ、ごめんごめん。
 考え事してた」
「そっか・・・。
 ・・・・・・・・・そういやさこの学校にはさ文化祭のジンスクがあるんだとよ」
「へえ、どんな?」

副委員長はというと私に話をしながら最終的なメニューの値段やら、チラシのデザインやらをぱっぱと決めたり選んだりしている。
私は彼を見て効率の良さを羨ましがったり、話をなんとなく聞いているだけなのだけど。


「なんか屋上に行ってキャンプファイヤー見れたらいいことがあるんだってよ」
「でもうちの学校屋上閉まってるよねー」
「それなんだけどさ・・・」

滅多に見ないごもっている彼。
しかもどことなく照れているようにも見えるんだけど・・・。

「鍵をなんとかしたら俺と一緒にさ、キャンプファイヤー見ねえか?」
「え、そういうのはクラスみんなでじゃない?
 いいことはみんなで分かち合おうよ」
「kittenは相変わらず手強いな」

『っ!?』


二人でいたというのにいつの間にか私のすぐ後ろに先生が立っていた。

「せ、先生、背後を取るなんてやめてください!」
「後ろに来るなら抱きつけってか?」
「知ってます、そういうのセクハラで訴えることもできるんですよ?」

・・・なんだか自分でも久々に先生に悪態付いた気がする。
クラスメイトの前だもんね。

「それで何が手強いとかですか?」
「おいおい、kitten・・・副委員長を泣かせてえのか」
「なっ、別に俺は泣かねえよ!」

なんだか凄い先生に突っかかっていきそうな勢いなんだけど・・・。

「私変なこと言った?」
「別に何もだよ・・・ったく先生いいところで入ってきやがって」
「kittenは簡単には渡せられねえな」
『え?』

先生の一言で副委員長と同時に一瞬固まってしまった。
別の意味ではあるけれど。



「kittenの剣道の腕なめてんじゃねえぞ?
 俺は不純異性交遊なんてまだ認めねえからな」


どきっとしてしまった自分が馬鹿だ。
言うわけないよね、私が望んだ答えなんて。
でも心のどこかで先生からの言葉が欲しいなんて望んでしまった私がいた。



ああ、やっぱり駄目だ。
今すぐにでも先生に抱きしめてもらいたい。

自分であけた距離だと言えども先生との距離は凄く遠い気がした。





  


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