盆が明けて久々に学校に来て名前に会ったものの名前の元気はなかった。
いや、確かにいつも通りと言われればそうだが、ぼーっとしている時間が多かった。
「kitten・・・どうした?」
「え、何がですか?」
「さっきからぼーっとしてどこ見てる?
俺と久々に会ったてのに嬉しくねえのか?」
「っ・・・」
顎を取って俺の方を向かせてはみたものの、すぐに目を逸らされた。
いつもだったら顔赤く染めて嫌だとか、やめろとか・・・そんな反抗をするだろうに。
「ごめんなさい、暑さのせいです。
顔洗ってきます」
「・・・ああ、行ってこい」
名前はただ静かにそう言って道場を出た。
何があいつを変えた?
俺に情がなくなったか・・・そんなこと今まで何度も経験してきた。
なのにこんなに気分が落ちてしまったのは、そこまで俺ものめり込んでるってことか。
好きだとか、そう初めて思った相手は理だった。
だが、守ってやりたい、大切にしてやりたい・・・そう思ったのは名前が初めてだった。
やっぱり約束守れなかったこと怒ってんのか?
でもそんなことで怒りそうなやつではない・・・と思う。
「shit・・・!」
もやもやしたままで気分が悪い。
ああ、もうこのまま俺がぐれちまいそうだ。
迷惑をかけてしまうのなら、いっそ今日は家に帰っちまおうかなと考えた時だった、肩に竹刀が乗った。
「伊達君、さっきからどうしたの?
一人でなんか考え込んで非常に練習がしづらいんだけど」
「Honeyか、まあいろいろあってな。
俺もう駄目かもしれねえ・・・」
「何?かなり重症じゃないの。
あー・・・全員素振り耐久戦!全員終わったら休憩取って試合、負けたら素振りかランニング。
主将あとは任せる、ちょっと抜けるからっ!
水分はちゃんと取りなさいよ!」
小十郎が今日はいない分、Honeyもかなり忙しそうだったが主将の返事を聞くと裏にあるベンチまで俺を連れ出した。
「で、何なの、そんな暗い顔して」
「Ah-・・・俺kittenに嫌われたかもしんねえ」
「え、嘘っ」
「もう嘘なら嘘って言ってくれよ!
嫌だ!俺kittenに振られたらぐれるぞ!ぐれるからな!」
「ちょっ、落ち着け」
「いてっ」
軽く頬を拳で殴られると、体は横に倒れた。
そうだ、こいつ怒らしたら厄介じゃねえか・・・思い出しながら冷静を装う。
「で、名前ちゃんが何で伊達君嫌ってんの?」
「I don't know.
今日俺の方向かせたら目逸らされて照れもせずに拒否られて逃げられた」
「・・・まあそんな反応は意外だけど。
なんかしたの?」
「約束したdateに行けなかった」
「それが理由で怒る子じゃないでしょ」
「俺もそう思うぜ、だけど他の理由なんて思い当たらねえんだよ」
ふう、とため息をつかれるとなんだか更にしょげてしまう。
「あのねえ、馬鹿なの?
・・・あれ名前ちゃん」
「kitten!?」
「あ、理さん・・・これを。
失礼します!」
名前は会釈をすると早々に走り去ってしまった。
そして、理の手に残った一枚の紙。
「これなんだと思う?
休部届けだって」
「なん、だって・・・」
「話は長くなりそうだから後。
戻るよ」
「あ、ああ」
名前の休部届けに呆然としながらただ理に引っ張られていった。
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