一度家に帰って気分が沈んでいる状況でありながら宿題をしてしばらくすると先生から電話がかかってきた。
『もしもしkittenか?』
「はい、私です!」
先生の声を聞くだけでうきうきとしてしまい、自分で少し笑いそうになった。
先生の方も同じことを思ったのか、電話越しで笑い声が聞こえたのだけれど。
『悪いな、いきなり来ちまうとは思わなくてな』
「だ、大丈夫です。
私だって子供じゃないんですし・・・」
『名前?』
自分で子供じゃないとか言っておきながらの今までの気分の沈みようを思い出してみた。
・・・やっぱり自分はまだ子供か。
そんな思いもやっぱりあって言葉の勢いはなくなってしまった。
『寂しくなったらちゃんと電話しろ』
「大丈夫ですって」
『じゃあ寂しくなくても電話しろ。
それが彼氏である俺からの命令だ』
やっぱり先生にはなんでもお見通し。
そして私は単純。
先生の一言、ひとつの行動で一喜一憂してしまう。
でもそれだけ先生のことが好きだということだ。
「先生、また今度一緒に遊びに行ってくださいね」
『当たり前だ、ちゃんと日あけとけ―』
いきなりのことだった。
『梵〜、こそこそ隠れて何してんの?
何?彼女?彼女と電話?』
さっき聞いた声が聞こえてきた。
ああそうだ、先生を連れて行ってしまった人。
『悪い、やっかいな奴が来たから切るぞ』
「え、あ、はいっ」
話していたいと思っても既に遅し。
電話からツーツーと、接続が切られたことを示す音がなっている。
先生大丈夫かなー・・・。
電話をかけかけ直したかったけれど、かけ直せるわけがない。
しばらく待てばくるかな。
そう思った私は携帯と数分ごとににらめっこしながら連絡を待った。
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