4月・・・新学期が始まってあっという間に新入生が入ってきた。
俺が担任なのは1年のクラス。
つまり新入生が俺の担当と言う訳で。
今日やっと顔を見合わせた。
顔を見合わせると未だ中学の餓鬼を思わせる奴も多数おり、微笑ましくもなった。


「今日からこのクラスの担任、伊達政宗だ。
 Nice to meet you.」

緊張がほぐれてないのかほとんどの生徒は姿勢を正して俺の方を向いていた。
ただ一人、一番後ろの奴だけが窓の外を見つめ俺の話なんて聞いてないというような態度を取っている。
春の風が気持ちよさそうでとても注意しようとは思えなかった。
それでも、人の話を聞かないのはどうかと思い、
その結果・・・


「委員長を決めるが、なりたい奴は手を上げろ。
 ・・・よし、いねえな?ok.
 なら田村、お前がやれ you see?」
「へっ、ええっ?私ですか?」
「ああ、前に出ろ」

面倒な役を押し付けてやった。
自分でも話聞かねえぐらいで何やってんだとか、そう言う感情はあるが。
まあこれぐらいしたって別に困る奴はいねえだろう。

俺に名をさされた田村は素直に前に出てきて教卓にいる俺の横に立った。
田村は別に理と似ている訳でないのに何故か姿が重なった。

「じゃあ後副委員長、委員会決めろ」
「全部私ですかー?」
「当たり前だ」

”俺の話を聞かねえのが悪いんだぜ”
そう耳元でこっそり囁いてみるとばれたかというように田村は苦笑した。
一応自覚があっただけ良しとする。

「仕方ねえな、俺も手伝ってやる。
 ほら立候補ねえなら勝手に決めちまうぞ」



多少強引ながらも進めたHRは意外とすぐに終わってしまった。
話し合う内容も多少の強引さと生徒たちのノリですぐに決まっていった。
さすがこの学校・・・変人の集まる場所だ。
学生時代も実感していた訳だがこう教師から見ても異様な様子に改めて実感してしまった。


「きりーつ、気を付け、礼」
『ありがとうございましたー』

少しだるそうな田村の声とクラスの生徒の挨拶で初めてのHRは終わりを告げた。
今からは部活の仮入部。

俺の頭にはすでにクラスのことなどなく。
ただ顧問として入った剣道部についてばかり考えていた。







  


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