結局のところ先生に連れて行かれたのは先生の部屋だった。
昔から先生の部屋だったらしいけどずいぶんと小奇麗にしてある。


「先生、明日も早いし私戻りましょうか?」
「戻りたいのか?」
「そういう訳じゃ・・・」


私がごもっていたら先生はクツリと笑った。
首を傾げて何なんだろうと考えてみると、先生が私を降ろし、床に倒した。
私はそのまま立ち上がろうとしたけれど、上で先生が跨っていたのでうまく体を起き上がらせることはできなかった。




「名前も女なんだな・・・」
「へ!?」
「ずっと俺の腕掴んでるからよ」
「・・・あ、すいませんでした!!」


気付かなかったけど私ずっと先生の腕を掴んでた。
だから、先生が跨っている形になってたのか。


「そんなことしてたら知らねえぞ?」
「大丈夫です、先生がこんなところでへまするわけがないですから。
 私も信じてますから」
「Ha!痛えとこ突くじゃねえか。
 んなこと言われたら、kittenとは長く続いてほしいって思っちまうじゃねえか」
「思ったら駄目なんですか?」
「俺が離してやれねえ」


自分から先生から離れるなんて今の私には考えられない。
逆だったわかるけど・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・うわ、考えたけど現実味ある。
凄い嫌だ。


きっと先生が私を振るなら好きな女ができたとか、合わねえんだよとか言ってきそうだ。
駄目だな、信じてるとか言ってるけど・・・。





「何考えてるんだ?
 どうせ俺ならどう振るとか考えてんだろ」
「な、何を」
「図星だな、なんつー間抜け面だ・・・仕方ねえ、こっからは個人指導timeだ」
「は?」


先生は私を起き上がらせて向かい合って座らせた。
私は先生の意味がわからないままそのまま雰囲気で正座する。


「まず確認するがkittenは俺の事どう思って、って答える前に顔真っ赤だな。
 もういい、わかりやすすぎて可愛そうになってくる。
 俺は教師だし、生徒と付き合うとかまず思ってもなかったし、付き合うなんて危険行為でしかねえし・・・何悲壮な顔してんだ、ちゃんとまで聞け」


先生が呆れたように笑い、私のおでこをつんと突いた。
そして、私の顔の力をほぐそうと頬をふにっとつまんだ。


「俺が好きになっちまったんだから仕方ねえだろ you see?」
「ふぇんふぇえ・・・」
「何言ってんのか全然わかんねえ」


相変わらず子ども扱いとも思うけど今じゃそんな関係で仕方ないんだと自分に言い聞かせる。
先生だって長く付き合っていたいと言ってくれたんだから、私が先生の傍にいられる努力をしなければいけない。


簡単なことではないとはわかってる。
だけど、ずっと先生の傍にいたい・・・。




「先生の傍にずっといたいです、一緒にいたいです・・・」
「名前、離れるな」
「はぃ・・・ううあっ」
「・・・何止まってんだ、kittenにとってこれどんな状態だよ」


何でこいつこんな空気読めねえんだ、とかそんな顔してる。
私だってどんな空気かはわかってる。






だけど、足が痺れた。




「足が、痺れました・・・」
「What!!?」
「だから・・・あっ、そこだ、め・・」


先生が痺れを確認するため足を少し叩いた。
実際痺れてるので衝撃が来る。


「Hum-・・・」


うわあ、悪いこと考えてる顔してる。
さっきまでの空気はどこに行ったんだと私が思ってもいいんだよね、壊した原因私だけど・・・。



「冗談だ」


そう言って先生は私の方に体重をかけて抱きついた。
そのせいで痺れた足に痺れが増すんだけど。
これ絶対確信犯だ、絶対そうだ。
そして、私の目に移るにやりと笑った先生の顔。


「やっぱり確信犯だ・・・」
「まあいいじゃねえか。
 ・・・そういや、今度ちゃんと罰ゲームやらせねえとな」
「さっきやったじゃないですかっ!?」
「あれは王様ゲームの命令だ、俺の命令じゃねえ」


確かに言われてみればそうだけど。
私の納得したのを確認できたのか、先生は頭をいい子だと言いながらくしゃくしゃと撫でた。


「覚えたら、ですからねっ!」



夜も更け、朝日が照ってきた頃私はそう言い残して、部屋に帰った。
後ろで先生の笑ったような声が聴こえたけど、時間が時間だったので振り向かずに部屋まで全力で走って帰った。














『絶対に言う通りにさせるからな、異議があるなら今だけだ』






後悔するのはもう少し先だった。





  


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