結局なんだかんだで5日目まで先生には指一本触れられなかった。
ゲームの意味でも、普段の意味でも。
ゲームをしたと言っても結局先生には余裕で交わされてしまい、私のチャンスは残り一回。
ちなみに私も何だかんだで先生に狙われても交わすことができなくても竹刀があれば受け止めれていたので勝負はついていない。
そして、普段の意味でも・・・。
疲れた私が夜遅くまで起きれるわけもなく、爆睡してた。
そのおかげで会えず、触れた事なんか一切ない。
そして、運命のゲームの最終日。
私はずるいとも心の中では思いながらも先生が練習を終わった後の油断してる隙を狙うことにした。
「伊達先生、覚悟!!」
しかし、私と同じことを考えていたのはたくさんいるらしく。
残りを掛けた先輩たちが考えてたのと同じように先生を襲いかかった。
先生はもうわかってたのは軽く避けるだけで次々と先輩たちのチャンスを奪っていった。
先輩たちが惜しかったなと戻って行くときに先生が息をつこうとしているところが見えた。
一瞬のことだけど隙が生まれたと見えた瞬間私は走り出していた。
「kitten!?」
咄嗟のことに焦った顔をした伊達先生。
これは私の勝ちだ、そう思った瞬間・・・
バランスを軽く崩した私は胴着の裾に足がひっかかり、転びかけた。
あーあ・・・そう思ったら先生がいつの間にか私の体の下にいた。
「すいませんっ!」
「まさか押し倒してくるとは思ってもみなかったぜ」
「ち、違いますっ、バランス崩しただけなんです!
そんな私押し倒そうなんて・・・」
「ま、押し倒せなんていう命令もいいよな」
不敵に笑った先生の片手に竹刀が見えた。
片手で私を抱きよせたまま、竹刀で軽く肩に当てられ私の負けは確定した。
「I won.」
「負けちゃった・・・」
「ところでさっきので足捻挫とかしてねえか?」
「え、別にー」
「痛えのかよ、そりゃ早く手当しねえとな!
おい小十郎、あとは頼むぜ!」
私は何も痛いとも言ってはいないのに先生は私の体を持ち上げると早々にその場を立ち去った。
いきなりどうしたのかわからなかった私は先生にどう言えばいいのかわからずそのまま抱えられていた。
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「好都合だったな」
「え?」
「本当なら頭痛だとかの方が言い訳として良かったんだろうが、足が大変だったらkittenをゲームに出さなくてもいいだろ?」
「あ、ああ・・・」
まさかそんなことまで考えてくれてるとは思わなくて少し驚いた。
というか剣道部は何をさせているの。
「そんなにおかしなことをやってたんですか、王様ゲームで」
「俺がなったときは・・・一緒に王様になった猿が目が良くて理と元親で散々遊んだからな、kissさせたりなんかは当たり前だぜ」
部員の中の人とキス・・・。
まだ女の先輩だったら耐えられるけど・・・他の人、というか男子部員は嫌だ。
冗談じゃ済まされない気がする。
「良かったー・・・」
安堵の溜息をもらすと先生は笑った。
「kitten、そういうの駄目そうだからな。
俺に感謝しろよ?」
「はい、先生にはすっごく感謝してますよ。
ファーストキスはまだですし」
「まあとにかくkittenは足が自由に動かないので不参加だ、俺らは今日のんびりできるからそれに付いとけ」
俺らというのは伊達先生、片倉先生、長曾我部夫妻だろう。
でも私生徒だし、子供なのに一緒にいていいのかな。
そんな疑問もあったけれど先生は大丈夫だと言った。
私だって先生がいるなら何も心配はないんだから。
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