次の日眠い目をこすりってみれば、既に先輩たちは胴着に着替え始めていた。
その途端にやばい、という危機感が一気に出て跳ね起きて顔を洗いに行った。



「名前ちゃん、大丈夫だよそんなに急がなくて」
「そうそう、体力はちゃんと温存しないと合宿最終日前日に大変なことになっちゃうんだから」
「前日・・・?」



先輩が遠い目をしながら一年前の合宿を思い出していたらしい。
詳しく聞こうと思ったけれどどちらにしろ私は早く着替えなければ間に合わないのでいそいそと着替え始めた。






いざ道場に着いてみれば既に先生たちは揃っていた。
昨日私と結構長くいた伊達先生さえも。


伊達先生は起きれる人じゃないとか勝手に信じてたので意外だった。
意外とか意外じゃないとか言ってても仕方ないんだけど。
でも、伊達先生の代わりに理さんが眠そうに欠伸をしていた。
その隣で指導の為付いてきた元親さんが理さんを愛でながら頭を撫でていた。



「毎年恒例の合宿、一日目だが。
 とりあえず今から恒例のゲームの話をする」

片倉先生が咳払いを一度して、ゲームの説明とやらをしてみる。




「・・・以上だ」


予想以上に長かったのでまとめてみれば。
・伊達先生、片倉先生、理さん、元親さんの誰かに合宿6日目までに竹刀をあてることができたら勝ち(首から上は無効)
・竹刀を4人に向かって振るうのは3回まで
・試合中、道場周辺は無効


結構短くまとまったなと思うけど。
まあいいか。
それで勝てれば王様ゲームの王様だと言うけれど。
もうそれ王様ゲームじゃないじゃないのとかいろいろ思うことはあるけれど恒例のゲームなので黙っておく。



「じゃあ始める、今この時からスタートだ」


スタートのノリが軽いとか思うけれどとりあえず練習頑張ろうと私は面をはめた。





日没の頃、既に私以外の1年生は既に3回のチャンスを使い切ったらしい。
私はというと王様ゲームなんぞ知るかということで殆ど参加していない状態。
だいたい好きな人に竹刀あてれるかっていうの。


「kitten、一緒に戻ろうぜ」


軽く自主練を終えた後、顔を洗って道場を出ようとした時伊達先生に声を掛けられた。

「ああ、はい。
 今日もお疲れ様でした」
「アンタに狙われなかったからな、結構楽だぜ?」
「私なんて他の男子生徒と比べればへもないですよ、力も技量も」
「アイツらは力任せだからよっぽどkittenの方が技量は上だ。
 それにkittenに狙い定められたら・・・止まっちまうだろ」


止まるというのは意味がよくわからなかったけど。
とりあえず私は褒められたことを喜んでいいのかな。


「どうする、今まだ道場の中だ」
「私なんかじゃ当てれませんし、当てる気もないですよ」
「俺はできたらkittenに王様になってほしいんだけどな。
 俺以外の男と何かあるだなんて許せねえ」


これは素直に喜んでいいんだよね。
さすがにこれは何となく意味は見えるよ!?


「じゃあ明日から本気で狙います。
 でも王様なんていりません、先生だけ言うこと聞いてくれらいいですけど?」
「ああ、その方が面白そうだ。
 ・・・俺もkittenを狙う、だから俺が当てれたら俺の言うこと聞けよ?」


そんなの私の勝ち目なんてある訳ないとわかってたのに私は首を縦に振った。
結局は先生と一緒にいれるだけで嬉しかったから。
そんな気持ちは悟られまいと、凝った肩をぐるぐると回した。






  


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