練習終わって、一日が終わり、なかなか寝なかった先輩方もやっと眠りについたころ。
私は一人館と言えるような大きな建物を抜け出して、道場へ来ていた。


夜は勿論真っ暗な訳で周りの森なんかは恐怖でしかない。
怖いの苦手な私にとっては伊達先生がいなければ絶対にしないことだ。


歩くこと約5分。
やっと道場に着いた。
そしてすでに道場の前には着流し姿の伊達先生がいた。


「お待たせしました!」
「kitten、大丈夫だったか?」
「はい、先輩方が寝るのが少し遅かったんですけどこうして出れたわけですから」



結局先生に言われてここまで来たわけだけど。
世の中のカップルみたいなことしようとか言われたわけだけど・・・。
べ、別にそんな早まったことをするとかは思ってないけど。
だって先生、初めに約束したし。


ちらって見てみるも綺麗に微笑んでるだけで普段の先生から考えると気持ち悪くもあるけれど、ドキドキする気持ちの方が勝った。


「・・・くっしゅ」
「寒いか?」
「い、いえっ、自分でもくしゃみが出るとは思わなかったですけど大丈夫です!」
「まあ、無理はさせらんねえ。
 俺の部屋行くぞ」




それで先生の部屋に連れ込まれたわけで。
座れと言われても何故か正座しかできなくなる・・・。


「何硬くなってんだ」
「い、いえ、別にっそんなことはっー」


その時だった先生との距離がぐっと縮まった。
今先生の顔が目の前にある。
手が私の頬を包んで、先生の睫毛は掠る程度だけど当たってる。


どうしよう、どうしよう、どうしたらいいの・・・頭の中でぐるぐるとまわって、全身に力の入った私はぎゅっと目を閉じた。
でも、とたんに聴こえてきたのは笑い声。


「俺のkissをお望みだったか、kitten?」
「なっ・・・」
「アンタからだと許されるが俺からはoutだからな」


そりゃ言ってることは御尤もだ。
そんなことわかっていた。


でも頬に触れられたところは時間が経つにつれて熱くなっていった。
その分先生に触れたいという気持ちも大きくなっていく。


「せんせ、い・・・」


体が勝手に動いて自ら先生の体に手を廻していた。
我に返っても時は遅し。
先生も私の意をわかってか、離れようとする私を離そうとはしなかった。
私たちは自然な流れで抱き合っていた。


「駄目だってわかってるのに・・・
 先生なのに・・・」
「お互い様だ。
 俺だって今すぐアンタにkissもしてえし、sexもしてえ。
 アンタの全てを俺の物にしてえ」
「ちょっ、何言ってるんですか!?」


まさかそんなことまでしたいとか言われるとは思わなくて。
抱きつくのも精一杯なのにそれ以上のことも望まれているとは思わなくて凄く恥ずかしかった。
でも恥ずかしかったのに凄く・・・嬉しかった。
そこまで先生に毒されてるんだろうなとは思ってたけど、それが嬉しくて腕に込める力を込めた。


「先生、合宿終わったら一日・・・好きにしてもらえませんか。
 一日だけでいいから、私を生徒として見ないでください。
 ちゃんと先生の彼女として・・・・・・・一度でいいから、一度っきりでいいから見てもらえませんか」


自分で何言ってるのかはわかってるようで、わかってなかった。
ただ大変なことを言ってしまったのはわかってる。
それでも先生は頷いた。


私にとってはそれだけで満足だった。







  


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