あくる土曜の午前練習も終わり、生徒が片づけをしていた。
田村も例外ではなく、一番学年であるからか一番せっせと働いていたように見えた。

「kitten、今日ちょっと残れ」
「え、あ、はい」

暑さからか振り向いた田村は顔が赤かった。
返事にはちょっと詰まってはいたがちゃんと残ってくれるとわかったので安心した。
周りの女子生徒からはなにやら声を掛けられているがそれはからかいのようなものだった。

自分では顔は悪くない方だとは思う。
ぶっちゃけ理や小十郎がされたように俺も生徒から告白を受けた。
勿論断ったけどな。
ちなみに剣道部ではそんな色恋沙汰などは皆無だった。
練習厳しくする奴にそんな恋とかできる精神力はきっと元親ぐらいだからな。


片付けも終わり、礼をし、今日の練習は終わった。
終わるなり田村を裏のベンチへと連れて行った。


「この間は悪かったな」
「へ?」
「あんたに一方的にいろいろしちまって悪かったと思ってる」
「え、あ、別に気にしてませんしっ・・・私が勝手に恥ずかしがってただけですし」

一部始終を思い出してしまったのか、赤さが一度引いた顔にまた赤みが差してくる。
だいぶ恥ずかしかった訳だな。

「それで・・・斎藤先生の気持ちは落ち着きましたか?」

話題を変えようとそんな切り口を開いてくるが。

「結婚・・・するんだとよ。
 kittenも連れて来てもいいって言ってたが来るか?」
「い、いいんですかっ!?」

weddingdressが見られるからか。
凄く嬉しそうにしていた。

「ただし寂しがって泣くなよ」
「な、泣きませんよ。
 私だって斎藤先生のこと大好きですけど幸せになってもらいたいんです!」
「Ha! 同じくだ」

そう言うと無邪気に笑った田村が可愛くて理の言っていた言葉を思い出してしまった。
別にドキッとするぐらいいいだろうと思ったが。
俺が女にときめくなんてことはあんまりないからな。

「出席なら俺がkittenのdress選んでやる」
「え、え、いやいやいいですよ、っていうかドレスじゃなくてもいいですから!」
「礼はkittenの笑顔でいいからよ」
「なっ・・・」

照れて赤くなった田村の髪を撫でると汗だくだからやめてください、と手を離させようとされた。
だがそれでめげられる訳がなくしつこく撫でてると田村はもういいと素直に撫でられていた。
少しだけ理に撫でられたぐらいの笑顔に近づいてくれた気がした。




  


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