車はしばらく走り、とある家の前で着いた。
・・・・・・家というか、邸・・・?
凄く大きな和風建築。
もしかして、もしかしなくても伊達先生はお坊ちゃまですか。

「降りな」

私の方にあるドアをわざわざ開けてくれ、手をさしのべられて降りた。
よく見れば高い車だ。
私この前伊達先生に平手打ち食らわせちゃったよ・・。

「どうした?」
「この前は平手打ちしてすいませんでした」
「んなこと気にしてねえよ、いいから入れ」

そう言われるなり手を引かれて連れて行かれた。
家に入った途端に出迎えたのは片倉先生だった。
あれ・・・部活の後にデスクワークあったはずなのになんでいるの、この人効率どんだけいいの?

「おかえりなさいませ政宗様・・・と田村か」
「I'm home.」
「ど、どうも・・・」

どうしよう、片倉先生のギャップが。
伊達伊達呼んでる人が家に帰ると政宗様とか言ってるんだ。

そんな片倉先生の顔がみるみるうちに変わっていった。

「政宗様!あなたという方は生徒にとうとう手を出してしまわれましたか!
 ・・・この小十郎、小十郎はそんな風に育てた覚えはー・・・」
「ご、誤解するな小十郎!
 こいつはただ相談できただけだ!」
「そ、そうです! 
 私手出された覚えも出される予定もありませんから! 
 出そうものなら全力で拒否します!」

私たち二人の必死の弁解になんとか納得してくれたらしい片倉先生。

「そうか、なら田村も飯食ってけ。
 親御さんには俺から連絡いれてやるから」
「でも、そんな悪いですよ」
「いいからいいから。 
 小十郎の飯はうめえからな」

奥にまで連れて行かれ、結局私は食事を戴くことになった。
座らせられると手際よく動く片倉先生。
なんだか凄く意外だった。
それをいつも通りだというように面白味もなく見ている伊達先生。
そして準備が終わるころ。
もう私はどうしていいかわからなくなっていた。
立派な日本食が並び狼狽えない日本人はどこにいるか・・・そういてたまるもんか。

『いただきます』

自然に正座して食事をしている私だった。

「それで相談ってどうしたんだ?」
「あ、それは・・・」

片倉先生に言ってもいいのかわからず伊達先生を見てみた。
すると私の視線に気づいてくれて代わりに答えてくれた。

「ちょっとprivateに関することだ。
 こればかりは小十郎にも言えねえからな、俺の部屋にはしばらく入ってくんなよ」
「かしこまりました」
「そういえば政宗様は田村の担任でしたか」
「そうだな、そういや」

あまりクラスに関心はないのか面倒臭そうに答えていた。
部活が好きなのわかるけどクラスも好きになれっていう話だ。

「田村、政宗様が何かしでかしたらお前に頼むぞ」
「なっ・・・まあ言いつけられるのよりはましかもしれねえが」
「場合によっては俺に言ってくれ」
「言わなきゃよかった!」

なんて親子みたいな会話を聞かせられて笑わない方が無理だった。
そんな風に食事した後伊達先生に連れられて一角の部屋に入れられた。




  


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