部活が終わって学校の外へ出ると銀髪の人が校門の前に立っていたのが目に入った。
なんとなく見たことあるような気がするんだけど・・・。
そう思った瞬間に思い出した。
斎藤先生が私を助けてくれた時にすぐに駆け寄ってた人だった。
たしかそう。
自信はあんまりないけどそんな気がした。
しばらくじろじろ見てしまったからだろう、目が合ってしまった。
軽く会釈したのだが、気になってしまったらしい。
話しかけられてしまった。
「その・・・俺の顔になんかついてっか?」
「いえっ、すいません。
あの失礼ですが斎藤先生のお知り合いの方ですか?」
「ああ、よくわかったな」
「少し見覚えあったものなので。
先生ならもう出てくると思いますよ」
「そうか、ありがとな」
この人が所謂伊達先生の恋敵なんだろう。
それにしても斎藤先生、伊達先生以外にもこんなかっこいいひとに好かれてるんだね。
たしかに先生がまず美人というのもあると思うけど凄いと思う。
それにしても伊達先生がなんだか不憫に思えてしまった。
伊達先生だって一般人が目をひいてしまうレベルだ。
なのに相手を諦めたとはいえ、相手に相手がいるとはいえ、まだ好きなんだから。
「そういやここ政宗もいるんだったっけか?」
「政宗って伊達先生のことですか」
「そうだ、伊達政宗だ。
元気か?」
「元気に竹刀振るってますよ」
「そうか、そりゃよかった」
よかった、そう言っている伊達先生の知人とぶっちゃけ元気じゃない伊達先生。
二人を見ているから少し複雑な気分だった。
「政宗にも待ってたら会えっかな」
「伊達先生は部活に出てる時間が長かったので時間が掛かるんじゃないですかね?」
「そうか、そりゃ残念ー・・・」
「Hey, 元親。
何kittenに手出してんだよ」
「元親、遅くなってごめん」
伊達先生と斎藤先生が並んで学校から出てきた。
それにしても伊達先生仕事のできが早いですねとか凄く思った。
「政宗久しぶりだな!」
「そうだな、で、kittenに何した?」
「kittenって・・・この子か。
別に話してただけだ、安心しな」
まあ話してただけで何も無かったからね。
伊達先生が何を気にしたのかは知らないけど・・・きっと元親さんに斎藤先生以外見てほしくなかったっていう感じだと思うけど。
まずその前に何でkittenって当たり前に呼ぶの!
今だけじゃなかった。
学校の中でもそうだった。
部活中は勿論、授業中でも言うし!
そして、この元親さんという人は何でkittenって言ってるの普通に受け入れてるの!?
「伊達君、あなたっていう人は本当にもう・・・」
辛うじて斎藤先生が私の気持ちを察してそうは言ってくれる。
そう言えば斎藤先生もhoneyって言われてるもんね。
「田村さんも頑張ってね、伊達君言って聞いてくれるそんな面倒臭くない人じゃないから」
そして突き放された。
面倒臭くない人じゃない、ってつまり面倒臭い奴だということですよね。
「じゃあそろそろ俺らは行くからよ。
また飲もうぜ政宗!」
「じゃあね」
「see you again!」
私も軽く会釈した。
「どうだ、あいつには敵わねえだろ?」
先生は元親さんには敵わないと言いたいんだろう。
いつまでも過去に囚われているんだろう。
「話ぐらいなら聞きますけど・・・」
「手は出さねえからよ、小十郎もいるしな」
悲しそうな顔のままそう言った伊達先生は私を他の生徒に見られないようにして駐車場に連れて行った。
そして私は伊達先生の車に乗り込んだ。
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