遠く遠く離れていても。


「ここで元親と出会ったんだっけか」


元親と別れて早一週間になる。

元気にやってるんだろうか。
まだ私のこと好きでいてくれるんだろうか。

一緒に座って公園のベンチに一人腰掛けてみると寂しさを実感してしまう。

信じていても不安になることが多い、だなんて大きな矛盾だっていうことは自分でも自覚してる。
”変わっていくこと”が大事だって言われる世の中だから不安になる。
だけど”変わらないでいること”も大事だって言われる世の中だから信じ切れる。

そして、私が元親のことを好きになったことは消えることのない事実。




『大丈夫ですか?』
『あれ、俺寝ちまってたのか?』
『はい、お腹減ったって言って倒れてしまいましたけど・・・』
『そうか、世話掛けたな』


そんな会話をしたのが二週間前。
まさか、こんな短い期間に惚れ込んでしまうとは思ってなかった。


「・・・お腹すいた。
 元親のご飯食べたいな」


そろそろ帰ろう。
未練を断ち切って、元親を待てるようにしよう。


「俺はいつまで鬼のままの扱いなんだ?」


帰ろうとした時に公園に入ってくる人影。
間違いなく、私が大好きな人。




「待たせたな」
「意外と早かったね」
「馬鹿、俺にとっては20年以上だっての」
「元気にしてた?」
「この通り、元気に人間やってんぜ」


ああ、変わらない。
元親だ。
確かに、私が心底惚れた元親だ。



「ありがとう、私を迎えに来てくれて」
「一緒に生きるって言ってくれた相手をほったらかす野郎がどこにいんだ。
 ・・・会いたかった名前、愛してる」
「私だって、どんだけ、どんだけ・・・元親!!」



元親の腕の中でのキス。
まるで別れたあの夜のように、またしょっぱかった。





    


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