「その顔を見た感じでは駄目だったか、使えぬな」
「・・・否定はできない。
こっちが責任取れって言われた」
ぐったりとした私の顔を見たら正直蔑んだ目で見てると思ったから全力で目をそらしてた。
だけど、言葉を言い終わって頭に感じたのは確かに元就の手で。
ふと見た元就の目はむしろ優しかった。
「どうした?」
「毛利意外といい奴だよね」
「今更何を言っておる、ついに壊れたか」
「・・・前言撤回したくなってきたけど。
それでも私のこと忘れないで欲しいって思う人間ではあるよ、いいとか悪いとか置いといて好きだよ」
私の命は本日限り。
存在自体はどうなるのかはわからない。
だけど存在自体なくなろうがなくならまいが友として元就には覚えていて欲しい、そんなわがままがあった。
「私のこと覚えていて欲しいって言ったらわがまま?」
「・・・・・・いきなり何を言い出すかと思えば。
我が大事なことまで忘れ去る愚かな人間に見えるか」
ああ、今大事って。
直接私のことを大事って言ってくれたわけじゃないけれどくすぐったい気持ちだった。
「ありがとう、元就」
「礼を言うでない」
「だって本当に私元就と仲良くできて嬉しかった」
「過去形か」
揚げ足とってるとか、そんな風という訳じゃないんだけど。
どう答えるか迷った。
本音はこれからも仲良くしていたい。
だけど、この身。
「これから先もよろしくお願いします」
嘘か、真か。
どちらに転がるのかはわからない。
だから、今私は自分がどんな顔してるのか予想さえつかなかった。
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