昨日結局自分でも理性が飛んじゃったんだろう。
行為が終わったあとすぐに眠ってしまったのか、目が覚めて私から抱きついたまま寝てたんだと気づいた。



気持ちよく寝ていた元親を起こさないように仕事に出たのはいいんだけれど。
・・・どうしても腰が痛かった。

そりゃ昨日は風邪で休んだから多少は調子が悪いのだろうと思われているんだろうけれど。
それでも、あの某同僚の視線が怖いんだけど。
さすがに抱かれて腰痛めてるなんてわからないように咳したりして調子悪いように見せてるんだけど。


「斎藤」
「ん、毛利どうかしたの?」
「資料室へ行くぞ」
「え、ちょっ、私別に資料室に用事な−、うぇいっ」


強引に手を引かれて思わず変な声が出てしまった。
周りは不思議にそうに見るけれど仕事はできるという評判の元就が隣にいるのを見てすぐに作業に戻る。




「体調は戻ったのか?」
「うん、まあ」


私は何も用事がない資料室に着いたんだけれども。
入った途端に鍵を閉められた。


「私毛利みたいに優秀じゃないから仕事が山積みなんだけど」
「時間はそう取らぬ。
 ・・・貴様を抱いた男、いつ出会った」
「先週の金曜」


私はこれでも分別があると自分でも思っているところもあるし、実際元就にも思われていたんじゃないかと思う。
その証拠に先週という言葉を聞いた元就は目を丸くした。


「我というものがありながらか」
「彼氏でもなんでもなかったくせによく言うわ。
 それに相手は明日いっぱいまでの居候、それ以上でも以下にもならない」
「・・・・・・・・・・・・」




元就は私の方をじっと見ながらも黙る。
心のどこかであばずれだの、淫乱だのとどうせ元就のことだから暴言でも吐き散らかすと思ってた。


「惚れたか」
「惚れた」
「相手には言ったのか」
「叶わないのはわかってるから言えない」
「抱いておいて責任を取らぬと・・・。
 いい物をくれてやる」
「へ・・・ちょっ、どこ行くの?!」
「そこにいよ」


そうして元就は私を残して資料室を出たのだけれど。


「まあいい同僚だこと」


ため息混じりに出た言葉とさっきの会話を思い出して自然と笑ってしまった。
もしも元親に出会わなければ元就に気持ちが傾く可能性もあったんだろう。



少し胸が痛んだ気がした。




  


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