「名前」


着ていたものをお互いに脱いでからさっきのことを思い出した私は恥ずかしくなってきた。
その結果真正面に向き合っているというのにちゃんと元親の方を見れていない。


「どこ見てる?」
「て、天井」
「仕方ねえな・・・」


そう苦笑まじりの声が聞こえたかと思うと元親の両手が私を包み、顔を自分の方へ向かせた。
目が合ってまだ恥ずかしさはあるけれどどこか安心してしまう。


「やっと向いた」
「うん・・・」

言葉が途切れれば、まるでそれを待っていたかというように元親の唇が私の唇に吸い付く。
その流れで押し倒されれば元親の肌を感じる。


ああ、熱い。

いつもの元親には変わりはない。
だけど、熱のせいもあるのか。
はたまた元親が好きだと自覚したばかりだからなのか。
体の熱を感じたくて自ら触れ合えさせば熱がうつる。


「今日はまた大人しいじゃねえか」
「だから同じ言葉を繰り返すけど私病人なんだから」
「ははっ、そりゃ結構なことで」


なら、と言って元親は口元に弧を描かせた。
その表情に嫌な予感がした。


「大人しいなら素直かどうかも気になってきちまった」
「へ・・・きゃっ、ん、ぁっ、あぁん」
「いい声で啼くねえ」


やっぱり嫌な予感というものは的中し。
元親がいつもの通り濡れさせようと手を秘部にのばしただけそう思った。
だけど、今日は手はのびず、代わりに元親の舌が秘部を舐めだした。


「どうだ、気持ちいいだろ?」
「ふぅんっ、あ、そ、そこ、あん、あっ」


初めて抱かれて出血したときそこを舐められたのは覚えてる。
でもその時はヒリヒリして気持ちよさなんて全く感じる余裕はなかった。
だけど、今では不本意にも元親の言うとおり気持ちよく感じてしまう。


「ほらどうだか言ってみろよ」
「き、気持ちいいけど・・・だめっ」
「何でだよ?」


駄目だと言ったこといは不満があったのか、さらに同じ場所を攻め続けられる。
せめて自分から離れようとシーツを掴もうとするけど手に力は入らなかった。


「もとちかっ、お願い、理性とんじゃう・・から、んんっ」
「んなもん飛ばしちまえよ」
「やだっ、やっ・・・はうっ、あ、だって」
「だって?」
「・・・このまま元親の顔がまともに見れないままなのが、やだ」



自分から元親を求めている。
もしかしたら、もうこの時点で今まで元親に抱かれてきたたくさんの女性と一緒になるのかもしれない。


「嫌になった?」
「・・・むしろその逆だぜ」


名前と、元親はまた私の名前を呼んだ。





  


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