目を覚ますと隣に元親が転んでいた。
起き上がろうとする私を支え、自分の額で私の熱を測る。
「大丈夫か?」
「・・・うん、寝たらだいぶすっきりした」
体は確かに楽になった。
それでもさっき見た夢は怖くて、恐ろしくて・・・
でもこれが元親の過去だと思うと切なくて、悲しくて涙が出そうになる。
「夢見が悪かったか?」
あの夢は元親がわざと見せたものなのか、それはわからないけれど元親の笑いには苦々しさが混じっている。
まるで言葉には出さないけれど私の考えを肯定しているような。
「ただなんとなく元親がこの前日輪って言うなって意味がわかったような気がした」
「そうか。
なあ名前」
「夢についてはぶっちゃけよく覚えてないからそれについてはなしよ」
嘘。
あんなの忘れられるはずがない。
今まで見たことのないような苦痛に満ちた元親と元就の顔。
そして、元親の名前。
”長曾我部元親”
もしかしたらわざとなのかもしれない。
それでも私は口には出せなかった。
罠だとかそう疑っているわけじゃない。
だけど、どうしても口には出せなかった。
「わかった。
あのよ、名前」
「何?」
「抱いていいか?」
まさか元親からわざわざそんなことを聞いてくるなんて思いもしなかったから少し内心驚いてしまう。
「今まで無理矢理だったくせに今更・・・」
それでも今は私も触れたくて。
目を合わせられないままにそう答えた。
・・・顔が熱い。
「じゃあ今更んな赤くなんなよ」
「それは無理」
反論しようと目を合わせばまた胸がきゅーっと締め付けられた。
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