『あんたは絶対に許さねえ・・・』
『ほお、我が身の策を恨まず我を恨むか』


夢の中、なのだろう。
たった今目の前に元親と元就が並んでいた。
だけど二人共いつもと姿がどこか違う。

元親はいつもと違う海賊が付けているような眼帯だし、格好も首のところに鎧のようなものを付けている。
そして大きな碇を肩に担いでいる。
確かに元親鬼だからと言われたらそう納得はいくこともあるけれど。


今私が驚いているのは何より元就の方で。


元就は何故か全身緑の服に、緑の兜。
フラフープみたいなものまで持っている。
だけどよく見るとフラフープではないらしく、鋭利な刃物のように見えるし、血痕らしきものが残っている。

しかも周りには倒れた人々。



『どうして野郎共を殺した!?』
『・・・ふん、その頭でもどうにか我がやったとわかったようだな』
『どうしてだ・・・どうしてだ。
 どうしてんなひどいことができる!?』


状況は私にはよくわからない。
けれど元親の苦しそうな、怒ったような表情と言葉を聞けば人が死んだということはわかる。
それも一人ではなく。


『ひどい・・・?
 随分甘ったれた口を聞くのだな貴様は』


その元親を蔑んだような目で元就は見る。
元就のその目に傍観者である私は身震いをする。
それほどまでに恐ろしかった。


『毛利さんよ、あんたは・・・どうにも救えねえ』

毛利・・・元就?
姿は違えど私の知っている元就なの?
そう思った瞬間に聞こえた元親の叫び声。


『毛利元就!!俺は絶対にあんたを許さねえ、絶対だ!!
 永遠の孤独の底に沈めてやる・・・俺の進む未来に、あんたの影は欠片もねえ!』

聞き覚えのある名前が耳に届く。
それと同時に元親が元就に向かって大きな碇を振りかざすのが見えた。


『許さぬ・・・長曾我部、元親・・・』
『なんだ日輪を拝める最期だなんてあんたにとってはいいもんじゃねえか。
 安心しな、毛利の繁栄なんて俺が潰してやる』



元就が最期に見せた苦痛の顔を見たのは一瞬だというのに脳裏に焼き付いた。
悔しい、恨めしい、許せない・・・そんな思いが満ちた表情。

でもそれ以上に元親の思いの方が強いんだろうか。
本当に鬼のような顔をしていた。








  


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