助けてくれたけど倒れてしまった男性。
さすがに助けてもらっておきながらそのまま道端に置いていくのは気が引けた。
お腹が減ったと言って倒れたけど・・・
まるで漫画みたいだ。
それは置いておいてお腹が減って倒れたならすぐに目が覚めるんじゃないかと思ってとりあえず近くの公園へ運ぶことにした。


なんとか公園まで運び、ベンチに座らせた。
何キロあったんだろう。
公園は近くにあったと言えども、か弱い女一人で男一人を運んだんだ。
もう息切れは当たり前だし、肩におかしな感覚があった。

それにしても座らせたわけだが、姿勢よく保てる訳なく私の方へ倒れこんだ。
近づいてきた顔はよく見たら凄く美形だった。

まつ毛は長いは、鼻が高いは、肌白だは・・・なんかそころへんのモデルとか芸能人とかよりも格好いいと思われる。
ただ左目に眼帯をしている。
あの薬局に売っているような白い眼帯。
何故か凄く眼帯が馴染んで見えた。




しばらく経ったころ。
時間にしたら一時間ちょいと言うところ。
とうとう目を覚ました。


「・・・んあ」
「大丈夫ですか?」
「あれ、俺寝ちまってたのか?」
「はい、お腹減ったって言って倒れてしまいましたけど・・・」
「そうか、世話掛けたな」
「いえいえ、私助けてもらった身でしたしー・・・」

そのぐらいは当然ですよ、そう言いかけた時ぐうという音が鳴った。
それは勿論私でもないし、彼だった。

「悪い、腹減っててな。
 こっち来たばかりで金もなければ行くあてもなくてな」
「えっ、そんな状態なんですか!?
 私で良ければ何か食事ぐらいは奢らせてもらいますよ?」
「いやでも悪いからよ、金出させるのは。
 でも作ってくれたら嬉しいんだけどな?」


普通に考えたらおかしい。
初対面で、しかも異性に・・・手料理。
でも、何故か私は断れる気にもなれなかった。


「いいですよ」


そう言った自分を恨むのはもう少し先。
私は彼のことを何も知らなかったから。
運の悪さはまだ続いていたのだった。





  


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