このままじゃお風呂で抱かれる、そう思った時だった。

「・・・今日はここまでだ」

そう言って元親はシャワーをもう一度全身にかけてバスタオルで私をくるんだ。
意外なそっけなさにただ私はつっ立っていた。

「何だ、物足りねえってか?」
「ち、違うっ!」
「でも教えてやったよな、自分で気持ちよくなれる方法は」
「え・・・んっ」

耳に吐息がかかる距離で囁いたあと元親は耳たぶを甘噛みした。
そんなことをされたらただでさえ熱い身体が熱くなるというのに。

そしてベッドのソファまで担ぎ込まれて、元親は部屋を出て行った。


やっぱり何か怒ってる?
それとも何か意地悪で?

どうしてかわからないままに身体は火照ったままだった。

”教えてやったよな、自分で気持ちよくなれる方法は”

元親の言葉が一瞬よぎる。
確かに一人でするなんてものは誰かに見られたら恥ずかしいけど。
今部屋に誰もいない。
・・・みんながしてるって・・・言ってたし。


恐る恐るバスタオルをはだけさせて秘部に手を伸ばす。
ただ中に挿れてみればくちゅという水音がした。

全部全部元親のせいだ。
あれだけ触っておいて放っておくから。

「ふっ、ん、んん」

しばらく指を抜き差ししたり、中をかき混ぜてみるもののなかなか気持ちよくなれなかった。
元親の指にはあんなに感じてるのに。
足りない・・・。

「・・・ちか、もとちかっ、あ」

無意識に元親の名前が口から出る。
自分の指が元親の指だったら良かったのに、そう思った時だった。

「お呼びか?」

そんな声がすぐ後ろから聞こえた。
恐る恐る振り返ってみればそこに元親がいた。
そしてしばらく見ていたのかにやついた顔。

「いつから・・・」
「名前が俺の名前呼んでるなーって思ってな。
 気にせず続けてみろ」
「・・・・・・・・・・・・」

続けられるわけがない。
無意識だとはいえ元親を求めるほどであったというのに。


「俺の指貸してやろうか?」
「・・・うん」
「いいぜ、貸してやる、好きに使ってみな」

そう言った元親は右手を私の手に掴ませる。
今なら酔ったという言い訳が使える、なんてことも考えられないままに本能的に元親の指を秘部の中に挿れていた。


「・・・っ、あ、ああ、もとちか・・・」

自分の身体が、指が勝手に動く。
火照った身体は止まらない。

そして、元親の空いている左手を取り胸に押し付けてしまった。
駄目だとわかっているのに、元親が貸したのは右手だけだというのに。
元親が今まで出会ってきた他の人と同じようなことをしているというのに・・・止まらない。
でも止まらないほどに自分じゃイけない。

「そろそろわかったか?
 アンタ一人じゃイけねえって」
「ふぅん、っ・・・もとちかのばかっ」

わかってる、どうせ言わせたいんだと。
気持ちよくなりたいのにイけない身体・・・。
元親に縋るように腕をぎゅっと掴む。

「どうした?」
「お願い、触って・・」
「どこをだ?」
「好きにしていいから、気持ちよくなりたい」
「名前、そりゃ反則だろ」


こんなに情けない自分に嫌悪感を出さない元親が今の私にとってせめてもの救いだった。






  


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