やっとのことで家に帰ると玄関に元親が立っている。

「遅い!」
「ごめん・・・でも留守電入れといたでしょ」

元親に教えてなかったけ?
じゃあ留守電入れてなくてもわからないんじゃ・・・やってしまったと思ったけれど関係なかったらしいく、ただぎゅっと抱きしめた。

「そういう問題じゃねえって!
 もしこないだみてえなことが起こって俺がいなかったらどうするつもりだったんだよ・・・心配かけんな」
「え、あ・・・ごめん」

まさか素直に心配してくれるなんて思ってもいなくて驚いてしまった。
元親たまにこうやって人間らしいところがあるというか、なんというか。

「・・・ん、酒と他の男の匂いがする」
「あ、まあお酒飲んできたんだけど」
「男に触られたのか?」
「・・・・・・別に変なことはしてない」

少しの間があったからもしかしたらこれはバレちゃうだろうか。
いや、ばれない、いくら元親だってそんなことはわからない・・・そう踏んでみたんだけれど。
元親がわかったのかどうかがわからないままに腕を引かれて家にずかずかと入り込んでは脱衣所に放り込まれた。


「俺が綺麗にしてやる」
「自分でするから!」
「酔った体でちゃんと洗えるわけがないだろうが!」

何か怒ってる・・・?
元親が凄い険しい顔してる。
力に抗えなかった私はただ服を脱がされる。

「跡は付けられなかったか・・・。
 で、どこ触られた?」
「胸と・・・その他もろもろ」

言えるわけがなかった。
例え元親が鬼で、しかも出会ってからほとんど毎日恥ずかしいことさせられていたとしても、しかもそれを見られているとしても。
元親、と割り切ることができなかった。

「ふうん、つまり名前の厭らしいところ触ったと?」

元親から目を下手に逸らすこともできないまま頷いた。
わかったと元親は静かに言うと無言でシャワーを私にかけた。

「わっ」
「ふざけんな、何やってんだ名前」
「ふざけてなんかない!
 私だって抱かれる気で行ったつもりもなかった」
「黙れ・・・」

無理矢理に顎を掴んで唇を塞いだ。
でも口付けは優しくて、ああ元親だとどこか安心していた私がいた。

「名前、俺をこれ以上おかしくさせるな」
「私のせい?」

こくんと頷いた元親に少し笑いが溢れてしまった。
お腹が空いたら機嫌が悪くなっちゃうのは人間も鬼も一緒か。


「ごめん」
「いいから黙ってろって」



背中にかかっていたシャワーが止まったと思えば、後ろから抱きしめられた。
耳に吐息がかかるほど近づいてきた瞬間に耳朶を舐められ、噛まれ。
いつの間にか手は胸に秘部にと回ってきている。

「んぅっ」
「他の男に抱かれて気持ちよかったか?
 えらく感度がいいじゃねえか」
「あ、あ、ぅ」


そんな訳がない。
でもまだ怒ってはいるのか、いつもより強引ではないけれど意地悪く責め立てるので答えられなかった。





  


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