「はあ・・・元就の馬鹿」
何故私にあれだけ執着していたのかはわからないけれど。
別に私はいい女でもなんでもないし、初めてだけを襲う趣味でもあったのだろうか・・・。
でも悪いとは思っている。
元就のことだから彼女とかそんな関係ではないけれど、体の関係を持つつもりでいる私を他の男に取られたということはプライドが傷つけられただろう。
それにしても、無理矢理に触られたせいでどこか体がむずむずとする。
気持ちよくなれなかった・・・だろうか。
どうも変な気分だ。
お酒も飲んでいる分もあるのか、理性もあまり残ってはいない。
そんな時だった、私を引き締めるように携帯の音が耳に入った。
「も、もしもし」
『名前、いつまでほっつき歩いてんだ!今何時だと思ってやがる!』
電話に出てみれば元親。
叫ぶような声に目をぎゅっと瞑ってしまうけれど、どこかあたたかかった。
「・・・ごめん、もう帰るから」
『わかってる、帰らなかったらお仕置きだ』
「う、うん。
あのさ元親」
『何だ』
「帰ったら私をおもいっきり殴って、気絶させて」
『はあ!?』
自分でもだいぶおかしいことを言っているのはわかってる。
でももし元親に会ってしまえば元親を求めない可能性がないとは言い切れない。
元親はすっとんきょうな声を上げたけれど、仕方がない。
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