「やっと終わったー・・・ふう」

仕事が終わったのはいいけれど、どうも家に帰ることによって次なる試練、もとい元親に抱かれることを頭が思い出してしまったらしい。
勝手にため息が出た。

「はあ」

そしてその横でため息が聞こえた。

「あれ、毛利。
 ため息なんてついちゃって幸せ逃げちゃうよ」
「ふん、別に日輪があれば我は幸せよ・・・その前に仕事が終わったのだからそのように呼ぶでない」
「え、あ、ごめん、元就」

同僚の毛利元就。
同じ時期に入って同じ部になった唯一の奴。
だけど奴はどんどん私よりもいい役もらってたりしている奴だ。
そんな元就がため息をつくのがちょっとだけ気になった。


「気になるなら久々に飲みに行くぞ」
「おう!飲みたい!・・・あ、でも先に電話する」

元親が来てから思えば一度もお酒を飲んでなかった。
たぶん家で飲んだら余計に体力を使いそうになるかもしれいし。
元親には悪いけれど・・・そう思って家に電話をかけた。
電話の出方はわかるかな、と心配したけれど生憎の留守。
心配だけど元親なら大丈夫だと完全に信じきってメッセージだけ残しておいた。


「行くぞ」
「あ、うん!待ってって」

歩くのが早い元就についていき、夜の街に繰り出した。




**********




そして、気づいたときには何故かベッドの上。
さっきまで居酒屋にいたはずなのに。
居酒屋で飲みながら世間話や愚痴やらを話していたはずなのに。


「えーっと・・・元就?」
「何だ?」
「これは一体どういう意味?」
「貴様は馬鹿か。
 今までだってここに来たことはあろう」

ここというのは元就の家。
私の初めてはここで、そう思い出して納得する。
そうだ、元親ではなかったんだ。

「今日は早めに切り上げたぶん意識があるようだな。
 これでやっと抱ける」
「え、やっと?」
「少し黙っていよ」

距離を縮めた元就はベッドにゆっくりと私の体を押し倒すと髪に口付けた。
その様子が妙に艶かしくて見とれていると今度は唇を奪われた。

「んっ、はぁ」
「名前は我のものよ・・・故に名前の初めても我が−」

え、初体験・・・?
初めてってことは・・・元就が今からっていうことは。

「ちょっ、ちょっとストップストップ!」
「何ぞ」
「元就が私の初めてを奪ったんじゃなかったの?」
「・・・ああ、そのようなことになっておったな。
 名前、貴様は何度酔いつぶれて我の策をぶち壊してきたことか。
 酔いつぶれているのにどうやって抱く」

呆れたようなため息をついたあと、私の着ている服を強引に脱がせようとした。

「いやっ!」
「何が嫌だ、我をどれだけ待たせたら気が済むつもりぞ」
「あ、あっ」

無理に後ろから体を抱えられて、元就の手は胸を揉み、秘部にも回った。
元就は確かに好きだったし、性格は面倒なところが多くても本当はいい奴だってくことも知ってる。
だから今日だって一緒に飲みに行ったのだけれども。

「濡れれば説得力は皆無よ」

耳元でする意地悪そうに言う元就の声。
無理やり指を入れられてしまったけれど痛い。
抱かれるつもりは今だってないのに抵抗しようにもできない。
そして、そのあいだにも何故か元親の顔が頭の中でちらついく。

「もとちかっ・・・」
「っ」

咄嗟に出てしまった言葉に元就の力が一瞬弱まった。
やっと動ける、そう踏んで体を動かせば元就と真正面になった。


「っ、名前・・・その跡は何だ!誰に抱かれた!」
「え・・・あ」

元就が見ている胸元を見てみれば昨日元親が付けたキスマーク。
動揺を隠しきれいていない元就を力任せに押して乱れた衣服を整えながら家を飛び出た。





  


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