「元親、寝る前にこれだけ」
「どうした?」
「別に家にリビングの引き出しに合鍵あるからそれ持ってたら家出ていいからさ。
 あと同じところにあるお金も使っていいからさ、明日ぐらい外出なさいよ・・・日輪に当たらないのは不健康らしいしさ」
「名前いいのか?」

不思議そうな顔をする元親に何がと尋ねてみれば、体を抱き寄せられた。

「俺が外に出ちまう心配はねえのか?」
「別に、元親って何気自意識過剰よね」
「アンタ本当は他に男いるんじゃねえの?」
「いたら元親になんか抱かれてないよ」
「罪作りな女だな」

一体どの口が言っているんだろう。
あと言っていたことも何かと失礼だったし。

軽く元親の唇をつまんでみれば、愉快な元親の顔が見れた。
そしてすぐに手を取られて私の掌に元親の唇が触れた。


「俺にとっての罪作りだぜ?」
「何言ってんだか・・・いいよ、もう早く寝よう」
「そうだな、明日も仕事だもんな」
「おやすみ」
「ああ、おやすみ」

くるりと元親に背を向けるようにして転んでみれば、後ろから元親の手が回ってきた。

「元親?」
「気にすんな、だけどちっとこれぐらいはさせてくれよ」

手が動かないならいい、そう思った瞬間に服の中に手が入ってきた。
その手は胸に触れて、突起を悪戯に摘んだ。

「ちょっ、ぁ」
「冗談だ、抱きしめるぐらいならいいだろ?」
「・・・それだけならね」

ただ元親に触れられただけだったのに、勿論嬉しいわけも一切ないのに体が熱くなった気がした。
そして何故か自分から体に回された元親の手に手を重ねた私がいた。



「本当甘えよ・・・あと”日輪”って二度と言うんじゃねえ」

そんな元親の声を聞きながら眠りについた。



  


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