怖いくらいに元親は身を尽くした。
帰ってきたら風呂を勧め、風呂から上がれば食事の準備。
食事が終われば片付け。
怖いとかじゃない、どうせ何か考えてるんだろうと思ってたんだけど何だか違和感でちょっとひいちゃった。
本人に言ってしまえば怒られそうなのだけれど。
でも意外なことに元親は家事を苦なくこなしていた。
「名前、片付け終わったぜ。
今日は仕事持って帰っちゃいねえよな?」
「うん、もう寝ようかな」
「俺が寝かしてやろうとでも?」
「そうですね」
目線を逸らしつつ、その場を離れようとしたけれどまあ叶う訳もなく、後ろから手を惹かれて、膝の上に座らされた。
「俺は名前のために頑張ったんだけどな?」
「それはどうもありがとう、そしておやすみ」
「人の好意を踏み躙るってのは情がねえんじゃねえか?」
「好意って・・・」
元親の好意というのは純粋に餌に対する好意?
自分で考えてみても正直わからなかったんだけど。
「・・・わかった、確かにおいしいご飯も食べさせてもらったし、やっぱり一人で食べるより誰かと食べたほうがおいしいし。
元親に感謝もしてる。
いいよ、元親」
いいよ、と言うのに元親の方を見ればにいと笑った顔が見えた。
本当に何かはあるとわかっていたけれど。
もういいと言うのは解決策だなんて、自分でもあららと笑えてくる。
「元親お風呂入ったの?」
「ああ、入ったぜアンタが帰ってくる前に。
ま、っつってみても俺は外に出ねえから汗もかいてないんだが」
「そっか・・・」
今まで元親外に出てなかったらしいし、留守を任せる必要もないのに家で待たせてるんで。
だから肌がこんなにも白いのかと思うけれど、それはそれで何だか申し訳ない。
太陽当たってないと体に悪いし、これからは無理矢理でも外に−
「って、うわあ、いつの間に?」
「気づかなかったのかよ、腕までしっかり回してたくせに」
考えているあいだに元親に横抱きにされて寝室まで連れて行かれていた。
しかも不本意で腕も元親の首に絡めてたし。
何があったんだ私。
「でもな、そういう時にちゃんと色気のある声出せよな。
ま、今から聴かせてもらうわけだが」
ベッドに下ろされた途端に口付けが落ちた。
唇が下に降りてくるにつれて服も乱れ、しまいにはすべてを脱がされる。
「っ、ちょ、あんっ、しつこいっ、くすぐったい・・・あ」
「別にいいだろ?
知ってっか、くすぐってえのと気持ちいいのは紙一重なんだぜ」
自論か、そんなものは知らないけれど。
胸の少し上まで唇が降りてくるとそこに何度も吸い付く。
そして服を着てたら見られないぎりぎりの位置で強く吸った。
「ひゃああ、うんっ、あ」
「ははっ、色っぽいぜその声」
「別に色っぽくなんか・・・やぁ、んん」
私がいつもよりもくすぐったいと思っている分そこが弱いとわかったのか、胸の上を執拗に舐めては、吸い付きを繰り返した。
そのあいだにも伸びている手。
それは既に脱がされて露わになって秘部も同時に弄ばれて、濡れているんだろうなというのは快楽に溺れそうになる自身でもどこか感じ取っていた。
「ねえ、元親・・・わたし、そこ弱いの?」
「すげえ感じてたぜ、それこそ今までないぐらいにな」
「今までって、そんなあ!ぁ、やっ・・・ん、いきなりっ、だめぇ」
「ほらわかっただろ?」
私にも声を聴かせて確認させるように、両手の動きを強めた。
どちらが弱いんだろうな、そう悪戯に笑った元親の瞳は既に飢えた獣のような瞳だった。
獣じゃなくて鬼か。
そう考えるより先に私の限界が来た。
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